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第3章 裁判 1 強盗傷害事件の受任

次の日の朝、ドアを叩く音で眼が覚めた。

町兵南区屯所の町兵さんがいた。

「おい、えっと、池君。いや、池先生って呼ぶべきなのかな。」

ああ、三丁目の健太と知り合いだと言っていた町兵さんだ。


「前から捜査線上に浮かんでいた容疑者を逮捕したんだ。それで弁護人選任権を告知したら、お願いしたいってさ。これが先生の初仕事っていうことになるのかな。頑張ってくれよ。まあ立場上応援してますとはいえないけどさ、先生みたいな好青年は、やっぱり成功して欲しいからね。」

あいかわらず、イケメン効果を垂れ流しまくりだわ。


とりあえず屯所に向かうことにする。

そう思って宿屋を出た瞬間、朝ご飯を食べていないことを思い出す。


そういえば、転移してきた初日は朝ご飯は食べていなくて、宿屋についてから食べた。

二日目は、おしのさんが用意してくれてたサンドウィッチを食べた。

そして三日目は、知らない女の人が買ってきておいていてくれたパンを食べた。

だから、俺は朝ご飯はちゃんと自分で調達したことがない。

すっかり忘れていた。

うーん。どうも、いろんな人にあれこれやって貰うから、自分で何かをするという習慣に、ところどころ穴がある。

まあ、いいか。ここは、無理をせず、イケメンスキルに頼ることにする。


急にうずくまってみた。

「ううっ!」ちょっと大きめの声を出した。

「しまった。朝ご飯を食べずに出てきてしまった。うっかりしてた!」

ちらっ。

ちょっと顔を上げてあたりを見回した。

人通りはあるけど、誰も立ち止まらない。都会の人は冷たいな。


「ううっ!お金は一応あるけど、朝ご飯をどこで買えばいいか分からない!」

もう少し説明を付け加えながら、辛そうに声を出してみた。

あと、思い出した。うずくまったら、俺の顔が見えないじゃないか。

うううと唸りながら、上の方を見る。


「大丈夫?」急に人気者になってしまった。3人くらい女の人が寄ってきた。


・・・


「駄目よ、この子は私が案内するんだから!この周辺で一番美味しいパン屋さんに連れて行くの!」

「この子は年頃の男の子なんだから、朝ご飯はパンじゃない方がいいわ。そんなことも判断できないあなたに、この子を連れて行く資格はないの!」

「私、うちに連れて帰っちゃお!」


結局、パン屋さんに連れて行かれた。トレイを持って並んで、トングで気に入ったパンを乗せ、レジで精算するシステムだ。それで店内のテーブルに付く。お姉さんが3人がかりで、何が美味しいか教えてくれた挙句、支払いも誰かがさっさとやってくれた。


気まずい。お姉さんたちが俺がパンを食べるのをにこにこしながら見ている。

お姉さんも食べたらいいのだが、俺だけが食べているというのも居心地が悪い。


ふわふわサンドという奴を口にする。

「あっ、なんかワイルド!噛み千切る仕草がすっごく男っぽい!」

ふわふわサンドを噛み切るも何もないと思うけど。


「そのふわふわサンド、美味しいでしょ!私一番のお勧めよ!」

「こっちのコロッケパンも食べて。男の子は肉系が必要でしょ。」

「連れて帰っていい?」


ジュースを飲んで、そそくさとお礼を言って店を後にした。

いやあ、困った困った。

いい気分だけど、ちょっと疲れた。

やっぱり女の人が複数で来ると、圧迫感がすごいな。

ま、イケメンにしか分からん感覚ですけどねっ!

気を取り直して、屯所に向かった。


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