21 警備隊南町奉行所
組事務所を出て奉行所に向かった。南区2丁目にある。中央区の南半分、東区の東通りより南、西区の西通りより南、そして南区が、南町奉行所の所轄なので、その中心点に位置することとなる。
まずは、昨日俺が襲われた件について報告した。すぐに報告しろと怒られた。犯人が見つかるとは思えないが、一応捜査はするといわれた。まあそうだろうな。他に通報してくれた人はいないらしい。昨日、手当てをしてくれた人は誰だったんだろう。
危ないから武装しようかなと言ったら、町の中では、長剣の着用は違法だと言われた。そういえば、町の人でそういうのを持っている人はほとんどいなかった。
伯爵軍も騎士団以外は、帯剣して町に入ることができない。町の中で帯刀していいのは、伯爵自身、騎士団、警備隊、町兵、冒険者、それから、伯爵が特に許可した人間だけなのだそうだ。その他の人間は、自分のひじから指先までの長さを越える刃物を携行してはならない。もちろん家に置いておくのは構わなくて、この前のドラゴン騒ぎのようなときに帯剣するのは構わないのだそうだ。なるほど。しかし、そうなるとどうすればいいのか。
簡単な防刃チョッキを勧められた。それから、杖を持ち歩くと良いといわれたが、それもなんか嫌だ。絶対どこかに置き忘れそうだし。とりあえず、近くの武器屋で安い防刃チョッキを買った。心もとないが、素人に襲撃される程度なら、これでなんとかするしかない。プロにやられたら、そのときはチョッキも剣も無意味だろうし。