18 おしのさんの受難(幕間)
どうにもうまく書けませんでした。もう少し文章を練ろうかとも思ったのですが、話を先に進めることを優先します。今日はあと2話投稿致します。
ちょっと時間が遡る。
その日の昼間、二人の男が密談をしていた。
ある男が、宿屋を訪れたのだった。旧知の相手で商家の息子だから、いくらかは金を持っているだろうと思い、金を借りに来たのだった。
宿屋の亭主は、気に食わない男がいた。そこで、金を貸す代わりにその男を殺して欲しいと依頼した。しかし、宿屋の亭主にも実は金がなかった。実家から縁を切られていたのだ。
宿屋の亭主は、別のもので払おうと申し出た。亭主の妻だ。妻を一週間好きにしていいという条件を出した。亭主にとって妻は道具でしかなかったのだ。
男は、金を借りに来たのだったが、ここしばらく金策に走り回っていて、相当鬱憤が溜まっていた。自由にできる女がいると、自分の不運をそのときだけは忘れられるだろう。濁った目で承諾した。
男は、201号室に入った。そこで短剣をもって待機していた。
短剣には麻痺毒が塗ってある。これで標的の抵抗を封じることにする。そうすると、宿屋の部屋には血痕がほとんど残らず証拠にならない。その後で、袋に包んで城外に持ち出して殺せばいいという計画だった。まだ日が高いから宿屋の上階にはほとんど人の動きがない。
扉が開いた。若い女が入ってきた。
「あれっ、どなたですか、ここで何をしておられるのですか?」
男は、チッと舌打ちすると、女に近づいた。女は不思議そうに男を見ている。男は、短剣を振るった。
・・・
「おい、計画が全然違うぞ。」亭主が言った。
「知るか。だいたい、自分の女房が、毎日客室の掃除をしていることすら知らなかったお前が悪い。いずれにしても、この女はかなり長い間、目を覚まさないはずだ。しかし俺の顔を見られた。俺は手を引く。女はお前の責任で殺せ。」
男は、引き上げることにした。麻痺毒は、まず手に入らない強力なものだ。女は数年間は眠っているだろう。それから目を覚まして自分に切られたなどと言っても誰にも信用されないだろう。それに何年もの間眠っていたら、そのうち諦められて放置されるだろう。あの亭主が、どうでもいい妻のために何年も入院費用を負担するはずはない。そうすると捨てられて衰弱死するだけだ。だから、女の始末は、相手に任せることにしたのだ。
宿屋の亭主は、しばらく考えた。女は自分の仕事にはなくてはならないものだ。それに今回、女が取引の材料に使えることも分かった。自分の財産になるものだから、殺すのは惜しい。いつ目が覚めるか分からないが、とりあえず入院させることにしよう。宿のどこかの部屋に入れておいてもいいが、世話をするのも面倒だし、勝手に死なれたら説明に窮することになる。
一方で、あの腹立たしい男を殺すにはどうしたらいいだろうか。ちょうどそのとき、いつもの出入りの業者が厨房から声を掛けて入ってきた。なんでもいうことを聞く奴だ・・・。