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17 襲撃!

宿屋の近くまで辿り着いた。


前からぶらぶら歩いてきた男が二人、目の前で急に左右に分かれて俺の両脇を通り過ぎようとした。俺の右側の男が俺の腕を掴む。左側の男がナイフを抜くのが見えた。ちょっと素人臭い。ナイフを抜くのにもたついている。俺は、身体を振り回してもがく。ナイフの男の狙いがそれて、俺の左側のどこかに熱い衝撃を感じた。やられた、と思ったが全く痛みを感じない。俺は声を上げているみたいだが、それも俺の耳には聞こえてこない。


右側の男を振り払うのを諦めて、そいつに体重を掛けてもたれかかった。急にもたれかかることは予想していなかったのか、右の男は俺の腕をつかんだままよろめいた。俺とそいつが、もつれ合いながら、たたらを踏む。その動きを利用して、左の男から距離を取った。俺の腕を掴んでいる男が立ち直る反動を利用して腕を振り払い、右手に持っていたバッグを思い切り振り切った。追いかけてきた左側のナイフの男の身体のどこかを直撃して、男がうずくまった。俺も、バッグの回転に引きずられてしゃがみこむ。身体から力が抜けて立ち上がれない。このままやられるかもしれない。そう思って次の一撃を覚悟したが、通行人の目がある。そのまま男たちは逃げていったみたいだ。一瞬の出来事だったようだ。


「おい大丈夫か」と、声を掛けられた。俺は恐怖と興奮で震えていた。出血したこともあったのかもしれない。知らない女の人が、手早く俺の左腕を縛って止血してくれた。


「みたところそれほど深くはないわ。一応大丈夫よ。家は近く?横になっていれば大丈夫だと思うわ。」

そうか、左腕を負傷したのか。言われるまで、自分では全く分からなかった。立ち上がる。礼を言ってふらふらと宿屋に向かって歩いた。うん、大丈夫そうだ。


警備隊に行こうかとも思った。しかし、頭が朦朧としていて何も考えられない。とりあえず横になりたかったし、警備隊での取調べに対応していたら、時間をとられる。明日までに仕上げなければならない仕事もある。そう考えて、よろよろと歩いていった。


宿屋には誰もいなかった。晩御飯の時間にはちょっと早い。だからかと思ったが、おしのさんもいない。そのまま自分の部屋に入った。ベッドに倒れこんだ。


「本当に大丈夫?」

知らない人の声だ。いや違う、さっき包帯を巻いてくれた人の声だ。真っ暗なので、どんな人か分からない。そうか付いてきてくれていたのか。っていうか、さっき自分の身体を支えていてくれたのかもしれない。意外と歩けるなと思っていたが、そういうことだったのかも。


シュッっという音がして蝋燭が灯された。命の恩人の顔を見ておこうと思うのだが、身体がろくに動かない。

「ちょっとじっとしててね。」

そういって、やさしく包帯をほどいてくれる。瓶の水を使って傷口を洗ってくれる感触がする。


「すみません、ありがとうございます。」

「本来なら警備隊に行くべきなんだけど、ああいうのはほとんど捕まらないしね。それよりは君の手当てが優先だよ。」

冷静に判断できる人だ。

手当てが終わった。

俺はもう半分意識がなくなりかけている。


・・・


足音がした。重い足音だ。さっきの人が何か持ってきたらしい。水の音がする。


「ふ・・・拭いちゃえ!」

ん?

服を脱がされた。全部脱がされた。

「キャッ」

いや、俺の方が、キャッです。

この人、何をしようとしてるんだろ。


濡れた布が俺の顔を優しく拭いていく。何度も絞りなおして、一日の汚れを落としていっている。すごく心地よい。

「寝ていいんだよ。」

優しい声が囁く。


布が上半身に移る。この優しい手付きが、なんか妙にいやらしい。うーん、と唸ってしまった。

「あ、ごめん、痛かった?」

「だいじょうぶです。」

小さな声しか出ない。

更に意識が遠のく。


「ひゃっ!」

声を出してしまった。

布が下半身に来た。そ、そこは、いかん。いや、いいんですけど、でもやっぱりいかん。いくら俺がイケメンだからといって、そこは、そこは、えっと、はい、お願いします。


朦朧としていく。気持ちいいけど、朦朧としている。


「ふふ。」

怪しい声がする。

「きれいきれいしましょうねー。」

こ、これが、イケメン効果というやつかあー!

と思ったのを最後に意識を手放した。


目が覚めたのは明け方だったようだ。なんか服もちゃんと着ている。腹が減っている。喉もからからだった。血を流した後だから当然だろう。机の上にパンと水が置いてある。布も置いてある。手紙も一緒だ。


「大丈夫だった?お節介かもしれないけど、パンとか置いておくね。布は破って包帯に使ってね。」

名前は書いていない。お礼もいえない。そうか、警備隊に報告してくれているかもしれないな。あとで行って、聞いてみよう。



ピンク要素とダーク要素の配分が難しいですね。どっちを増やすか悩ましいところですが、結論としては、どっちも増やす方向で頑張りたいと思います。

初のバトルシーンは、ものすごく地味に押さえました。

ご一読ありがとうございました。

今日の夜、おそらくもう少し投稿できるかと思います。

引き続き、ご愛読頂けましたら幸いです。

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