2 転送情報、受領しました!
気が付いたら、なんか目の前には城門みたいなのがある。俺は、庶民的な比較的みすぼらしいけど、不潔な感じまではしない服を着ている。城門の周りは荒地。城壁は粘土みたいなのでできている。結構、しっかりした感じだ。高さは、10メートル弱と見た。かなりの威圧感がある。粘土だけどね。門には門番さんが二人、槍をもって立っている。そうだよね。それが普通だよ。三人もいたら、門の両脇に一人ずつになって、あとの一人が居心地悪いことになってしまうからね。他に人影はない。あまり通行のない町なのかな。
俺はよろよろと立ち上がって、門番さんに近づく。さあ、なんといって声を掛けよう。
「おっとごめんね。話の途中で飛び出しちゃうんだもん。困るよ。」
頭の中で神様の声が響いた。遅いよ。遅いよ神様。
「僕にばっかりしゃべらせてさ。君、自分の希望は、はっきり言うようにした方がいいよ。相手が目上の人だって遠慮していたらさ、覇気のない奴だって思われるからね。」
おおっ、俺のせいですか。俺のせいかよ。いるよね。いますよね、そういう人。多すぎて思い出せないくらい、そういうタイプいるわ。っていうか、神様は目上なんだ。なんか目上って言われるとかえって軽い感じする。もっと超越している感じじゃないのか。
「とりあえず、色々説明したかったんだけど、僕も忙しいから、君にだけ構ってはいられないんだ。君もそのあたりちょっと考えて欲しかったな。資料渡しておくから目を通しておいてね。」
神様は一方的に何か重たそうなものを俺の頭に転送してきた。ずしっとくる。頭の中だから、本当はずしっと来てないけど、感覚としては、ずしっときた。どこから読めばいいんだ。頭の中でものすごいスピードでページをめくることにした。ちゃんと読めるぞ。その辺はしっかりしているんだな。それで、とりあえず俺の設定的なものを見つけたので、なんとか門番さんとのトークは乗り切ることができそうだ。