11 新しい朝
本日投稿2話目です。
気持ちのよい朝だ。さわやかだ。小鳥たちまでが、楽しげに鳴いている。俺の幸せを分けてほしいのだろうと思う。いいよ、好きなだけもっていきなさい。俺にはいくらでも幸せがあるのだから。そう思いながら階下に下りた。もう邪魔者はいない。俺はここに住んで、おしのの料理を毎日食べながら、今の仕事を続けていこう。そう思って、食堂に行ったら、しらないオヤジがカウンターにいた。
「あれ、おしのはどこだ?」
オヤジはぶっきらぼうに答えた。
「昨日夜遅く出てったよ。この宿屋は、昨日の夕方に俺が買うことになった。夜遅くに引き渡して貰ったんだよ。ああ、あんた201号の人だっけ。手紙と金を預かってる。金は大金貨10枚だ。手紙を読んだら、あとで受け取りにサインしてくれ」
まず手紙を読んだ。
「池君
いままでありがとう。大好きだったよ。私は旅にでます。探さないで下さい。成功報酬は、宿屋の新しいオーナーに預けておくね。足りるかしら。
ティナちゃんとお幸せに。」
えぇっ!何か勘違いしてない?いや、勘違いじゃないのか。俺とティナちゃんの関係って、そもそも何なんだろう。説明が難しいからって、説明しないままにしていたけど、おしのは、そのことをどう理解したのだろうか。
混乱しながら慌てて飛び出した。すると、ティナちゃんが青い顔して宿屋の外に立っていた。
「メンデス先輩、おしのさんいます?」
「なにがあったんだ?」
「昨日のお昼前、おしのさんと市場でばったり会ったから、ちょっと話していたんです。それで、なんだか私と先輩が付き合ってるって思われてしまったらしくて、でも私、先輩と私の関係うまく説明できなくて。そのうちにおしのさんは教会に裁判に行く時間になって、そのままだったんです。それで、夜のうちにそのこと考えていたら、おしのさんの様子がおかしかったって不安になって。」
「おしのは出て行った。探さないでくれって、手紙が残されていたんだ。」
「えっ!なんで!先輩、ごめんなさいっ!私のせいです。」
ティナちゃんを責めても仕方がない。おしのの行き先に心当たりがないか聞いてみた。
「ずっと昔ですけど、王都に行ってみたいって言ってました。それくらいしか心当たりはありません。」
ティナちゃんは俺を見た。
「先輩、おしのさんを、王都に探しに行きましょう」
そうだな。あやふやな手がかりだけど、俺に残された唯一の手がかりだ。そこでおしのを見つけて誤解を解こう。そして、俺、おしのと一緒に幸せな家庭を築くんだ。ティナちゃんも入れてあげていいぞ。
俺たちの旅は、これから始まるんだ。
お わ り
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
あちこちに張った伏線を収束させるのが、すごく楽しかったです。よろしければ、もう一度お読み直し頂ければ幸いです。お暇なときに。
反省すべき点はたくさんあります。
事件が平行して進んでいくのが格好いいと思っていたため、分かりにくくなってしまいました。
あと面白さを後回しにして、設定を作りすぎたように思います。もっと冒険成分を入れておけば良かったと思います。ハーレム要素も中途半端に終わってしまいました。
悪役については、もっと不快な部分を強調したかったのですが、それも中途半端でした。
一方で、書くことの楽しさは、すごく味わうことができました。
読んで下さった皆様、お気に入りに登録等して下さった皆様のお陰で、曲がりなりにも完結させることができました。ありがとうございました。
未練がましく、次回作への繋ぎを残して完結しました。しばらくまた筋を考えたりして、新しく投稿させて頂こうと思っています。そのときはよろしくお願い致します。
おそらくはげみになると思いますので、評価等頂ければ、大変嬉しいです。また、次回作について、助言など頂ければ幸いです。お暇があれば、是非よろしくお願い申し上げます。
ありがとうございました。