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9 エルフヤクザチーム流星の危機

申し訳ありませんでした!終章の9話を飛ばしておりました。

次に冒険者ギルドに顔を出した。冒険者に登録する申請をして、待っている間に被害者の会の様子を見に行く。

もう目が回りそうだ。

被害者の会は、更に人が増えて1600人を超えているらしい。なんか、伯爵から金が出るという話が更に広がっているようだ。

奥の部屋では、事務局長の仕事を無償でやらせることになっていたエリカが、机に向かって一心不乱に資料を整理していた。

「昨日から寝ていない」

「頑張ってくれ。これも社会のためだ。」

そのまま立ち去った。


冒険者ギルドでの登録について説明を受けた。

「池様についても、勇者見習い様と同様に組合長特例でCランクとします。よろしいでしょうか?それから、ご希望でしたら、コミカルベアーの討伐報酬及び買取額をギルドの池様の口座でお預かりしますが、どうされますか?」

「お願いします。」答えておいた。

ここ数ヶ月で、他の仕事でもかなりのお金が貯まっていた。それも預けようと思って持ってきていた。

「これも貯金できますか?」

「はい。・・・大金貨14枚ですね。たしかにお預かり致しました。」

仕事ではもっと稼いでいたはずなんだが、今回の試練で相当使ってしまった。それから、今度刀を買う予定だから、手元にいくらかは置いてある。それで、大金貨14枚になった。もっとも、コミカルベアー討伐でかなりの収入になったから、貯金額は安心だ。


「これは他の町のギルドでも引き出せますか?」

「はい。ただ、情報をリアルタイムで共有できないので、手紙で貯金額を確認してからとなります。したがって、多少の時間を要することになります。」

「なるほど。」

「ただ、別の町のギルドに行って、お名前とランクを申し出て頂ければ、ランクに応じて一定の貸付金を受けとることができます。」

そうか。まあそうだな。自分の名前と地位について嘘のつけない異世界だからこその便利さだ。

「あとは、依頼を年間で少なくとも5件は消化して下さい。それをしなければ、罰金が発生します。」

「分かりました。」


「主要なご説明は以上です。池様、冒険者ギルドは、池様のご加入を大歓迎します。」

おお、なんか心の篭った歓迎をしてもらった。


それから、チーム流星の事務所に顔を出した。


そうすると、ターニャが青い顔をして座っていた。

「アンドロポフが逃げたの。」

最初、何を言っているのか分からなかった。

「昨日からいないと思っていたんだけど、今朝、アンドロポフの家に様子を見に行ったら、空っぽになってた。置手紙が一つ。組に不満があるから抜けるってだけ書いてあった。」


「金!」叫んだ。あいつが全部持っていたはずだ。

「アンドロポフの家の金庫に大金貨100枚だけ入っていた。」


なんということだ。最後の最後にあいつに裏切られるなんて、全く予想していなかった。「代理店の方はどうだった?」

「大丈夫。台帳も書類も押さえたわ。代理店の人には、「かわいそうだから逃がしてやる」って言って、今までの取り分と大金貨5枚を持って逃げるのを黙認した。それでも代理店の金庫には大金貨40枚が残っていた。」


合計1400万円か。これは被害者救済に回すのではなく、ターニャとアンドロポフと俺の取り分だ。色々計算がややこしくなってきて、よく分からないけど、そういう扱いで構わないだろう。


ターニャが大金貨の袋を俺に渡してきた。

「ごめんなさい。メンデスの取り分はもっと多かったはず。」

「いや、これは受け取れない。そっちの方が色々と切羽詰ってるんだろ。」

「・・・それはそうだけど。でも、アンドロポフの不始末は私の不始末。」

考えた。たしかにアンドロポフのやらかしたことは、チーム流星の中の問題だ。でも、これを受け取ると、俺が一人勝ちになってしまう。


「じゃあ、こうしよう。どうせアンドロポフは探すんだろ。その間のチーム流星の活動資金に使ってくれないか。それでアンドロポフが見つかったら、奴が持ち逃げした金の分配については、俺も相当貰うことにする。」


「分かった。ありがとう。」

チーム流星は相当厳しかったのか、結局はターニャは素直に受け取った。俺も、大金貨20枚だけ受け取った。


かなりの大金ではあるけど、当初予定していた額とは比べ物にならない。アンドロポフがかっさらっていった金は、おそらく数億円になるだろう。

もっとも、先に一部分配を受けていたからこそ、隼人の試練のための装備とかを用意することができた。それにチーム流星は、四万十川騎士団長による冒険者ギルド乗っ取りを排除できたし、被害者の会の仕事に食い込むことができるようになった。そっちでもある程度の収入があるだろう。そう考えると無駄ではなかったと、すっぱり諦めることにした。

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