8 ちょっと組の事務所まで来てくれ
読んで頂いてありがとうございます。書き溜めた分をチェックしながら放出していっています。
さて、どこに行こうかな。あ、図書館を探そうと思っていたんだった。そう考えていたが図書館の場所がわからない。南通りというところに出た。きょろきょろしたり、お店をゆっくりみながらのんびり歩いていた。急に後ろから呼び止められた。
「おーい、兄ちゃん!」
ドワーフだ。顔に傷がない。誰だ。六郎氏ではないな。
「俺は、健太っていうんだ。三丁目の健太って覚えていてくれ。」
六郎氏の同期の人だ。リゾットを食べた人だ。西島組って言ってたな。
「兄ちゃん、六郎助けてくれた人だよね。イケメンだからすぐに分かったよ!ありがとうよ。六郎は俺の仲間だ。組にも迷惑がかかっちまうところだった。さっき町兵が来たんだが、その場で疑いが晴れてな。」
「そうですか。それは良かったです。お役にたててなによりです。俺は、この町にきてから、いろんな人に助けてもらいました。お返しをしたくても、誰も笑って受け取ってくれません。だからこそ、困っている人がいたら、どんなことでもお役に立ちたいと思っているんです。」
最近、すらすらと出るようになった。これが、通用するんだよ。
「若いのに、本当によくできたお人だな。それでだ、うちのオヤジが兄ちゃんの顔を見てえって言ってんだ。ちょっと組の事務所まで来てくれ。」
直球すぎるだろ、健太。普通に怖いぞ。ヤクザだよ、ヤクザ。もう少しやわらかい言い方しないと、怖すぎるよ。
「あ、俺たちはカタギの人間には迷惑はかけねえ。それに、兄ちゃんには借りがある。だから何も心配することはねえよ。」
それを先にいえよ。
「わかりました。じゃあ、行きましょうか。」
三丁目の健太は、ぽかんとした。
「いや、いまっていう話じゃねえよ。今日の夜、飯をおごるからさ。そのときに来てくれ。これが地図だ。」
がっくりきた。腹を決めた途端にこれだ。とりあえず地図を受け取った。夜までどうしよう。図書館に行くつもりだったが、完全にやる気を失ったぞ。やる気もない。金もない。仕事もない。まずは、宿屋に戻って、おしのさんに晩御飯いらないって伝えて、それから町をうろうろしてみるか。