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第9話:王女様が命からがら持ってきてくれたのは、「お土産」ではなく「異臭」でした

かつての教え子・フィオナ様が登場。

聖王国の惨状が明らかに……

魔王城に、

新しい家族(?)が

加わりました。


私が

真っ白に洗い上げた

伝説のフェンリルは、


すっかり

私に懐き、


今では

私の移動手段兼、

巨大な

『自走式モップ』として、


お城の床を

フカフカの毛並みで

磨いてくれています。


そんな

平和な、

ある日のこと。


魔王城の結界を、

一人の少女が

潜り抜けてきました。


ボロボロのドレス。

泥で汚れた顔。


その少女は――


かつての

私の教え子であり、

エリオット王子の妹。


第一王女、

フィオナ様でした。


「リリア様……!


お願いです、

助けてください……っ!」


彼女が

泣きながら

私に縋りつこうとした、

その瞬間。


隣にいた

ゼノス様の眉間が、

ピクリと

動きます。


「待て。


その人間、

近づけるな。


……猛烈に

『臭う』」


「……ええ、

ゼノス様。


私も

感じます。


これは

ただ事じゃ

ありません」


フィオナ様から

漂ってくるのは、


汗や泥の

臭いでは

ありませんでした。


それは――


聖王国の王宮を

完全に支配した

『絶望のカビ』と、


それを

放置し続けた人々の

『不潔な欲望』が

混ざり合った、


致死レベルの

悪臭。


「フィオナ様、

動かないでください。


……今すぐ、

除菌します!」


「え?

あ、ひゃいっ!?」


私は咄嗟に

腰のポーチから、


濃縮聖水スプレー

『除菌の輝き・極

(エターナル・ハイター)』を

取り出し、


惜しみなく

噴射しました。


「シュッ!

シュシュッ!


はい、

くるっと回って!


裏側も

除菌ですよ!」


「ふぇぇ、

目に染みますぅ……!」


霧を浴びた瞬間、


彼女のドレスから

黒い煤のようなモヤが、


「ギャァァ!」


と鳴き声を上げて

霧散します。


ようやく

本来の可愛らしい

顔立ちが

現れたフィオナ様は、


そのまま

地面に膝をつき、

語り始めました。


「お兄様……

エリオットは

狂ってしまいました……。


リリア様が

いなくなったお城は、

たった数週間で

『魔窟』と

化したのです。


食事には

常にカビ。

お風呂は

泥水。


鏡には

不気味な顔が

映り込み……


今では

お父様まで、

カビに

意識を

乗っ取られかけています!」


「……

想像以上に

末期ですね。


カビが

意識を持つなんて、

お掃除を

サボりすぎです」


私は、

胸の奥に

怒りを覚えました。


あんなに

毎日、

心を込めて

磨き上げていた

お城が――


そこまで

汚されているなんて。


「リリア様、

どうか

戻って……


いえ、

せめて

『お掃除のやり方』を

教えてください!


このままでは、

国が……

国が

ゴミ屋敷に

なってしまいます!」


フィオナ様の

必死な訴え。


――ですが。


背後から、

冷たい

プレッシャーが

放たれました。


ゼノス様が、

私の肩を

引き寄せ、


フィオナ様を

射殺さんばかりの

視線で

見据えます。


「断る。


リリアは

もう、

貴様らの国の

人間ではない。


……今の話を

聞く限り、

その国は

もはや

『汚れ』そのものだ。


リリアの手を、

そんな

不潔な場所で

汚させる

つもりはない」


「ゼノス様……」


「リリア。


これは

慈悲だ。


――いっそ、

私が

その国ごと

『焼却処分』してやろうか?


それが

一番

手っ取り早い

掃除だろう」


魔王様の

過激すぎる提案に、

フィオナ様は

真っ青になります。


確かに、

火で焼くのも

掃除の一種かも

しれませんが――


被害が

大きすぎます。


「待ってください、

ゼノス様。


……フィオナ様。

条件があります」


「……じょ、

条件?」


「私が

開発した

『対・王宮用

洗浄キット』を

差し上げます。


それを使って、

あなた自身の手で

王宮を

磨き直すと

誓ってください。


お掃除は、

誰かに

頼るものでは

ありません。


自分たちの国を

愛する心から

始まるものなんです」


私は、


特大のバケツ。

魔力を込めた

『黄金のタワシ』。


そして、

最新作――


『全自動浄化洗剤

・王宮爆破

(バブル・ボンバー)』を

彼女に

手渡しました。


「これを

持って

帰ってください。


……もし、

これでも

駄目なときは、

私が――」


「リリア」


ゼノス様が

私の言葉を遮り、


耳元で

低く

囁きます。


「……続きは、

私と

二人きりの時に

聞こう。


今は、

この

不潔な客人を

追い出すのが

先だ。


……いいね?」


独占欲

全開の

視線。


私は

顔を赤くしながら、

頷くしか

ありませんでした。


こうして、

フィオナ様は

『究極の掃除用具』を

抱え――


再び、

地獄と化した

王国へと

戻っていったのです。


果たして、

タワシ一つで

王国を

救えるのか。


……そして。


リリアへの想いが

暴走気味な

魔王様の

「お掃除教育」は、

どこへ

向かうのか。

カビに支配された国……。

リリアがいなくなった代償はあまりにも大きかったようです

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― 新着の感想 ―
いやいやいや(笑) 火の浄化を否定した人が「王宮爆破(バブルボンバー)」ってどんな顔して渡したんだよ(笑)
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