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第8話:泥にまみれた聖獣と、魔王様の独占欲

平和な魔王城に、新たな『巨大なゴミ山(?)』が漂着します

魔王様と

二人でお洗濯をしてから

数日。


魔王城の空気は

ますます澄み渡り、


今や周辺の森には、

浄化された空気を求めて

小鳥たちが

集まってくるまでに

なっていました。


そんな

ある日の午後。


城の正門近くで、

一頭の

「巨大な泥の塊」が

発見されます。


「リリア様、

大変です!


門の前に、

得体の知れない

動くゴミ山が!」


駆け込んできたのは、

最近すっかり

掃除仲間の

ミノタウロスさん。


私が

現場へ向かうと、

そこには――


体長三メートルほどの、

全身が

ドロドロのタールのような

もので覆われた生き物が、


弱々しく

横たわっていました。


「……これは、

ひどいですね。


単なる泥じゃ

ありません。


聖王国の工場から

流された

『魔導廃液』と、


放置された

『絶望』が

混ざり合った、


最悪の

ヘドロ汚れです」


泥の中から、

金色に輝く

瞳が一つ。


私を

すがるように

見つめてきます。


その正体は――


かつて

聖王国の守護獣と

崇められていた、

伝説の

『黄金のフェンリル』。


ですが、

国が汚れ、

人々の心が

荒んだせいで――


守護獣までが

「ゴミ捨て場」のような

姿に

変えられてしまったのです。


「くっ……

触れるな、リリア!


それは

聖なる獣が

穢れに

蝕まれた姿だ。


今のそれは、

歩く猛毒に

等しい!」


遅れて

駆けつけた

ゼノス様が、


私を

庇うように

前へ出ます。


――ですが。


私はもう、

エプロンの紐を

キュッと

締め直していました。


「ゼノス様、

下がっていてください。


これ以上

放置したら、

この子の

毛並みが

傷んでしまいます!」


「……

毛並みの

心配か!?」


私は取り出しました。


新開発の――


『神聖・

高圧洗浄ノズル

(ホーリー・ケルヒャー)』。


指先から

放たれる

超高圧の聖水が、


フェンリルを覆う

ヘドロを、

次々と

弾き飛ばしていきます。


「仕上げに、

この

『超回復シャンプー』で……


はい、

優しく

ブラッシングですよ!」


私が

汗だくになって

ゴシゴシと

洗うこと、

一時間。


ドロドロだった

ゴミ山は

完全に消え去り――


そこには、


太陽の光を反射して

眩しく輝く、


フカフカで

真っ白な毛並みを持つ

伝説の獣が、

ちょこんと

座っていました。


『……オンッ!』


フェンリルは

歓喜の声を上げると、


お礼を言うように、

私の頬を

ベロリ。


「わわっ、

くすぐったいです!


……あはは。

綺麗になって

良かったですね」


フェンリルは

私のことが

すっかり

気に入ったようで、


私の胸元に

大きな頭を預け、

甘えるように

スリスリと

体を寄せてきます。


……と、その時。


「おい。

そのあたりに

しておけ」


背後から、

凍りつくような

低い声。


ゼノス様が、


真っ白なフェンリルの

首根っこを、

物凄い形相で

掴んでいました。


「リリア。


そいつは

もう

十分綺麗になった。


……あまり

ベタベタされると、

私の

『機嫌』に

汚れが溜まる」


「え?


ゼノス様、

もしかして

嫉妬ですか?」


「…………


……掃除の時間だ。

城に

戻るぞ」


顔を

真っ赤にした

魔王様は、


私の手を引き、

フェンリルを

追い払うようにして、


足早に

城内へと

戻っていきました。


◇◇◇


その頃。


聖王国の

宮殿では――


「守護獣が

いなくなった!?


バカな、

どこへ行った!」


エリオット王子が

絶叫していました。


国の

浄化装置でもあった

フェンリルが

姿を消したことで、


王宮のカビは

ついに

「自立歩行」を

開始。


掃除を忘れた

王国に――


真の

『暗黒期』

(ただし不衛生な意味で)が

訪れようと

していたのです。

ホーリー・ケルヒャー! リリアのネーミングセンス、個人的に気に入っています

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