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第12話:魔王様の秘密のコレクションと、誓いの雑巾

魔王様のプライベートエリアで見つけた、意外すぎる『秘密』。

ゼノス様、ギャップが凄すぎます

ゼノス様の部屋。


棚の奥で見つけた、

大量のフェンリルのぬいぐるみ。


それは、


私が普段掃除に使っているのと

同じ、


丈夫で柔らかな魔法布で作られていました。


しかも――


一針一針が、

驚くほど丁寧。


「……ゼノス様。

これ、もしかしてご自分で作られたんですか?」


私がぬいぐるみを一つ手に取ると――


ゼノス様は、

顔を耳まで真っ赤にし、

長いマントで顔を半分隠しました。


「……ふん。

余った布を有効活用しただけだ。

城の『整理整頓』の一環として、

裁縫の技術を磨いておいて損はないだろう」


「でも……

これ、私の分までありますよね?

ほら。このフェンリルさん、

私のエプロンと同じ刺繍が入っていますし……」


あまりの可愛らしさに、

私は思わずぬいぐるみを抱きしめました。


冷徹で恐ろしいはずの魔王様が――


夜な夜な、

一人でチクチクと、

私のために縫い物をしている姿。


想像しただけで、

胸の奥がじんわりと温かくなります。


「……貴様。

笑うなら笑え。

魔王が趣味でぬいぐるみを量産するなど、

威厳も何もあったものではないからな」


「笑うなんて、とんでもないです!

とっても素敵です、ゼノス様」


私は部屋を見渡しました。


「……それに。

この部屋、隅々まで本当に綺麗です。

私が教えた『掃除の心』を、

ゼノス様は誰よりも大切にしてくださっているんですね」


その言葉に、


ゼノス様は観念したように深く溜息をつき――

私の隣に座りました。


「……リリア。

私は今まで、何かを『慈しむ』という感情を、

汚れだと思っていた。


だが……

お前が城を磨き、

私の心を浄化してからというもの――


この清潔な空間を。

そして、お前という存在を。

守り抜きたいと思うようになったのだ」


ゼノス様は、


私の手からぬいぐるみをそっと取り上げ――

代わりに、私の指を優しく包み込みました。


「これは、掃除ではない。

……契約だ。


リリア。

私の隣を、一生磨き続けてくれないか。

この城の主として。

そして……

私の、唯一無二の伴侶として」


「…………はい、喜んで!」


私は、

溢れそうな涙を堪えながら、

満面の笑みで頷きました。


魔王と聖女。

正反対の二人が――

「掃除」という奇妙な縁で結ばれた、

その瞬間でした。


◇◇◇


――その頃。


聖王国の王宮では、

フィオナ王女による『強制大掃除』が、

最終局面を迎えていました。


黄金のタワシによって、


「傲慢」を削ぎ落とされた聖騎士たちは――

今や全員、純白のエプロン姿。


必死に、壁を磨いています。


「よし!

仕上げは、この『リリア様特製・全自動ワックス』を散布しますわよ!」


フィオナがタワシを振りかざすと――


王宮全体が、眩い光に包まれました。


カビは根絶。

悪臭は花の香りに変わり――

王宮は文字通り、「新生」したのです。


……しかし。


その光景を、牢獄の中から呪わしげに見つめる男がいました。


泡に包まれ、

地位も。

名誉も。

自慢の清潔感(笑)も。


すべてを失った――

エリオット王子。


「……認めん。

こんなことがあってたまるか。

……あの掃除女、リリアめ……。

私がこれほどまでに惨めな思いをしているというのに……!」


王子の瞳に――


ドロリとした黒い影が宿ります。


それは、


どんな洗剤でも落とせない。

深く根ざした――


『嫉妬』という名の究極の汚れ。


魔王城に迫る、

最後の不潔な影。


リリアとゼノス様の

「新婚掃除ライフ」を脅かす――


次なる事件の幕開けでした。

ぬいぐるみをチクチク縫う魔王様。

想像すると、リリアじゃなくても悶絶してしまいます(笑)

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