6仲直り?
明けましておめでとうございます。昨年はいっぱいお世話になりました。本当にありがとうございました。今年2025年もよろしくお願いします。はなまる
それから年末年始は仕事が休みだった。
エルディはレオルカの家族の所に挨拶に一緒に行ったり、レオルカをクワイエス家に招待したりして休日を過ごした。
その間アンリエッタお姉様とは顔を合わせることはなかった。
次に会ったのはレオルカを招待した日の夕食だった。
エルディはドレスの事で腹を立てていたが、こんな席で嫌な顔をするのはいけないと入り口を入る前にすっと淑女の笑みを張り付けた。
「エルディ?どうした。気分でも悪いのか?」
レオルカ様が心配して顔を見つめる。
「ううん、少し疲れたみたい。あっ、でも平気だから」
「そうか。俺の家は遠慮がないからな。みんなエルディと仲良くなりたくて寄ってたかってエルディを取り合いしてたからな…でも、みんなエルディを気に入ったって事だから」
レオルカ様が実家でも事を思い出したのかくすりと笑う。
(こんなレオルカ様って新鮮)そんな事を思ったら思わず笑みがこぼれた。
「ええ、もちろんよ、私も楽しかった。また行きたいわ」
「ああ、また行こうな」
玄関を入るとエリク様と出会った。
「やあ、エルディ元気だった?最近全然あえなかったな」
おどけたように先に声をかけて来たのはエリク様だった。
「ええ、そうですね。エリク様はお元気でした?」
強張った顔をしていたのだろうか。いけない、いけない。エルディはふと笑みを返す。
一瞬で場の雰囲気が柔らかくなる。
「ああ、クワイエス領に行く事になって色々忙しくてな。アンリエッタともあんまり会えていないんだ」
そこにアンリエッタが現れた。エリク様がお姉様の腕を引き寄せて腰に腕を回す。お姉様はエリク様を見上げて微笑んだ。
いつものお姉様だった。
(あんな事をしておいて?…)一瞬で顔が引きつれる。
「あら、エルディ久しぶりじゃない?」
「ええ…お姉様はお元気でした?最近全然会えていなかったですけど」
エルディはアンリエッタに硬い声で話しかけた。
「もちろん元気よ。エルディこそ結婚式の準備で忙しいんじゃないの?」
アンリエッタお姉様は何もなかったように聞いて来た。
(よくも平気な顔で…でもここは抑えて抑えて…でも我慢が…)
「ええ、ドレスもひと悶着ありましたが、招待状やパーティーの準備は叔母様がまかせてと言われてお願いしましたので問題ありません」
「何?ドレスの何とかって?」
「えっ?てっきりご存知かと…」
(まあ、白々しい。とぼけるの?まあ、お姉様がその気ならいいわ。もう知らないんだから)
「そんな事知る訳ないじゃない。まあ、私もドレスを頼んでいるから一度店の方に行くつもりだったけど」
「ああ、そうですね。それで結婚式はどうされるんです?」
エルディは我慢できなくてぎろりと視線を向ける。
アンリエッタも同じようにエルディを睨み返す。
そんな雰囲気を察したのか慌ててエリク様が話始めた。
「ああエルディ、それならクワイエス領の教会がいいんじゃないかって思ってるんだ。何でも歴史ある教会らしくって俺達があっちに行ってからになるだろうけどな」
「それじゃルーズベリー教会で結婚式をするのは諦めたって事です?」
「仕方ないじゃない。エルデイがずるしたわけじゃないんだし、エリクがそっちがいいって言うし…」
ピリピリした緊張が一瞬でほぐれるが気持ちはすっきりとしない。
でも、ここで腹を立ててもと思い直す。
「そうなんですか…良かったです。私も式に参加しても?」
「もちろんよ。私だってエルディの結婚式に出るつもりよ。いいんでしょ?」
「もちろんです。やっぱりお姉様だわ~ありがとうお姉様」
(もう、なによ。お姉様に優しくされたからって‥でも、ほんとは仲直りしたかったし、もう、ドレスの事は忘れるのよ)
エルディはすっかり機嫌を直してしまう。
「当然でしょ!さあ、お料理が冷めるわ。レオルカ様もいらっしゃるのよ。しっかりなさいエルディ」
「ええ、レオルカ様ごめんなさい」
「そんな事いいんだ。良かったなエルディ」
レオルカ様がくしゃくしゃっと頭を撫ぜてくれた。
「もう、やめて下さいよぉ。レオルカ様私は子供じゃないんです」
「いや、俺はエルディは可愛いと思ってるから…」
そう言うレオルカ様の顔はいつもの無表情な顔ではなく柔らかで穏やかな顔だった。
(レオルカ様もこんな顔もするんだ。可愛いです)
エルディは不貞腐れながらもそんな不埒な事を思っていた。
そして馬車の中でのキスの事も…レオルカ様って冷たそうに見えるけど意外とかわいいところがあるのよね。意外と熱い男かも…