17家族に確かめる
その夜の夕食は叔父様、叔母様、アンリエッタ、エルディ、レオルカの5人で取った。
夕食は叔父様の好きな鴨肉のソテーや叔母様の好きな白身魚のソテーなど盛り沢山だった。
「レオルカ。今日は早いじゃないか」
「はい、隊長実は話があって、後で皆さんにも確認したいことがあって」
「そうか、しかしここで隊長はやめろ。ゼイスでいいぞ」
「はい。ゼイス様」
「ああ、それで式の準備は出来てるのか?」
「ええ、準備はもうすっかり整ってるわ。ねぇエルディ」叔母様は断りの手紙の事などなかったかのようにほほ笑む。
「当たり前だろう。大切な姪の結婚式だ。なぁエルディ」叔父様もにっこり微笑んだ。
「ほんとエルディもうすぐね。ドレス姿楽しみだわ」アンリエッタお姉様も嬉しそうに話す。叔母様ったら話してないのかもと思うほど自然だ。
そして夕食が終わると全員でリビングルームへ。
レオルカが今まであったドレスの事やブーケの事、それに結婚式を取りやめる手紙の事や脅迫状の事を話した。
「失礼を承知でお聞きします。この中でエルディの結婚式を邪魔したい人はいませんか?」
レオルカは全員の顔をじっと見て行く。
叔父様も叔母様も驚いた顔で首を振る。さらにアンリエッタお姉様の顔をじっと見据える。
「アンリエッタ様あなたは結婚式の予約でもめましたよね」
「それは最初はそうだったわ。でも、もう諦めたわ。エリクも領地での結婚式に乗り気だし興味はなくなったわよ。私じゃないわ」
アンリエッタが気まずいが自分はやってないとはっきり断言した。
「すみません。これで選択肢は限られました」
「レオルカあなたが言いたいことって…エルディに恨みでもあるって事なの?脅迫状まで届くなんて…」
そう口を開いたのはアンリエッタだった。
「それはわかりません。個人的なことなのかそれともクワイエス家全体に対してなのかも…ただ、キャサリン・バルブロ男爵令嬢が怪しい事は確かです」
それに反応したのは叔母とアンリエッタだった。
「「キャサリンですって!バルブロと言えばアミルの?」」
「おふたりとも気づかれましたか。そうなんです。キャサリンはアンリエッタ様の婚約者を奪いましたよね。それにキャサリンのお母様は元ゼイス様の婚約者だった。それにブルーノとも関係を持っているようで…ブルーノはシルビア様の弟ですよね?嫡男ザラファン様の婚約者でもあります。それにキャサリンは結婚を急いでいるのかもしれません。ケネト王子には結婚すれば祝い金が入るらしいので」
「いやだ。何だか怪し過ぎるんじゃない?」
「そうなんです。今急いでキャサリンを調べていますが、エルディやご家族の身の安全が一番ですので皆さんにも気を付けて頂きたいんです」
「ええ、そうね」
「前から嫌な人だと思ってたけど、まさかエルディの結婚式を邪魔するなんて、なんて嫌な人なの!こうなったら私もキャサリンの交友関係を友達に聞いてみるわ。エルディあなたは何も心配しなくていいの。安心しなさい」
アンリエッタは憤慨していた。
エルディはそんなアンリエッタを見てほっとしていた。
(お姉様じゃなかったんだわ。何も言わなくて良かった。お姉様信じれなくてごめんなさい)
エルデイは自分の状況も忘れていた。
アンリエッタお姉様がそんな人ではなかったとわかったから束の間うれしさがこみあげて。
「お姉様…ありがとう」
エルディはアンリエッタに抱きついていた。