ソレには過去の理由があって……。
ここは名もなき双子の浮遊大陸。
500年前の最終地上戦争によって 空に浮き上がった過去の大陸の寄り集まりである。
この戦争のことについて話すと長くなるので詳細は省くがとにかく激しくてとても悲惨な戦争だったということは記しておきたい。
また、とある帝国による一方的な蹂躙 から始まった大災害でもあるということを言い添えておこう。
それでその当の帝国の当事者である皇族の血を引くとある村民たちがいた。それがウフ村の民である。帝国は 単一民族国家 だったので皇族と国民が同じ種族だった。だからウフ村の民も同じ血を引いていた。
じゃあどんな種族だったかって?
そうだ、それはもうとても恐ろしい種族なのだ。
彼ら自身が追い詰められた時のみは、であるが。
彼らは 白エルフという名の種族だ。
太陽の光を弾く白い髪、大理石のようななめらかな白い肌、黒い宝石のように輝くひとみ(とはいえ人による。四六時中寝不足の人であれば、死んだ夜の空みたいな目をしているだろう)。
豊かな情緒と内面を持ち、縄文人のように、自然と共に素朴で豊かな暮らしをしている。
そういう 心優しい素敵な人たちなんだけども……、玉にキズなことに、追い詰められた時に暴れてしまう悪い習性があるのだ。
これはもう生まれつきのものである程度は しょうがないと言っていい。あとは、暴れてしまわないように、感情コントロールする術を身につけるしかない。
それに彼らは、体だけ成長したとしても、心の課題が解かれていなければ、ある日目が覚めると背が縮んでいたりするのだ。
そうやってゆっくりゆっくり大人になっていく。
だから、彼らの内でも、悩める人はいつまでも若く美しいままだ。
あるいはこうとも。
『悩みが美しく、残酷に輝く。』
そんな風に表現することもできる。
今日 ご紹介したアイルインという女の子も、そういう悩みを抱えている。
彼女は僕の影だ。
そして今 説明したこの大陸の今までも 僕の過去の投影だ。
だからこれから 時間をかけて彼女が成長する中で僕たちはゆっくりゆっくり お互いに お互いを理解して和解していく必要がある。
それで僕はレイヤという少年を代役にしてここから進めていこうと思う。作者がいつまでも喋るのは良くない。
さて次のエピソードに進んでほしい。
そこから物語になってるはずだから。