本を買う作業
取り寄せていた本を取りに行った。
カウンターで本を受け取ると、見慣れた店員が
「実は…
今どき、店舗で直接受け取る方法にしているのは珍しい。
理由としては、地元の本屋さんに頑張ってほしいという思いだった。
元々、その本屋さんには開店当初の時期から通っていたはずだ。
私は本屋が好きだった。
そこ以外の本屋にも通っていたから浮気をしていたことにはなるが。
年数が経つにつれ、アマゾンやら電子書籍の普及やら、そもそもの活字離れの世が来た。
贔屓にしていた本屋は潰れていった。
なくてはならない場所は、そもそもの必要性が問われる場所になった。
そんな世になったある時、その本屋で本を選んでいたところ
カウンターで本を購入した一人のおばあちゃんが
「応援してるから、頑張って続けてくださいね」と、店員に話しかけたのが見えた。
店員は多分、ありがとうございますとか返答していたと思う。
ただ、そう言われてもこの世の中で簡単に続けられることじゃないよなあ…と。
もっと客が応援して買ってくれないとどうにもならないだろう。
私は傍目にそう思った。
そんなことを見てからか、棚に取り寄せ購入についての張り紙があるのに気がついた。
以前から視界には入っていたが、それ以上気にすることもなかったもの。
それは、「e-hon」というもの
※e-honとは
本の問屋の(株)トーハンが運営するオンライン書店です。
ネットで注文した商品を、全国約3,000店の加盟書店で受け取れます。
(e-honのホームページより)
私は、本屋で本を買うことが多いが、アマゾンも利用していた。
アマゾンでは書店に置いていない本を買う目的で利用していたのだけど。
ただ、置いていない本は取り寄せなら、書店での購入もできる。
(古書でしか買えない本は別だが)
そのことを考えた。
地元で暮らしているので、地元に還元できる何かもしたかった。
家に帰って、自分の部屋の本棚が目に留まった
雑然と並べて…というか、詰め込むように本棚の収納スペースいっぱいに手当たり次第の活字を溢れさせている
整理しようか
ふと、そう思った
それは春だから?
順番どうしようか?
あいうえお順にして並べてみよう
あの本たちはどうなるのか?
それぞれの出版元へと帰っていくのか
倉庫に投げられるように置かれるのか
飼い主を待ち、待ち続ける動物か
明くる日、本屋の前を通った。
もう、何も
これは、ひとつ、ひとつ、こうやって棚から棚へと降ろしていく。
ああ、もうすぐ閉店になるんだな、と。
本を売る仕事。
誰が覚えているのか分からないことに精を出す




