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男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~【異世界ロマンス】  作者: 富士とまと


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「え?」

「背が高い女性も可愛いんだって、皆に認めさせます。それから背が低いということで嫌な思いをしている人たちを助けたい……」

 もしかすると、男性アレルギーは無くても、男性に体を触られたり、どこかへ連れ込まれそうになったりと、嫌な思いをしている令嬢がいるかもしれない。ローレル様は、そういった方に「私の名前を出しなさい」と助けの手を差し伸べていた。

 私だって、一人でも嫌な思いをする女性を減らしたい。もし、小柄だから侮られている人がいるならば……。

「かかとが20センチくらいある靴を作ろうと思います」

 今の主流はかかとが5センチほどだ。平均的な女性の身長160センチが165センチになる。平均的な男性の身長が175センチだから、10センチほどの身長差となる。

 ローレル様は、かかとの無い靴を履いていても170センチほどあったんじゃないだろうか。ヒールを履くと175センチ。男性よりも高くなってしまうことがあるだろう。

「に、二十センチ?リリー様、本気ですか?歩けますか?踊れますか?」

 うっ。流石に無理かしら。

「かかとだけではなくて、つま先の方も高くして……えーっと、つま先を5センチ上げて、かかとを15センチ上げる?それなら10センチほどのヒールと同じような感じにならないかしら?流石に20センチは難しいかもしれないですが、15センチならば……」

 160センチの女性が175センチ。ローレル様がヒールを履いたのと同じくらいになる。

「それならば可能かもしれませんが、ですが、何故、そんな高いヒールを……」

「ローレル様はとても美しかったわ。すらりと背が高いのは素敵なんです。それに、縦に長くなればその分スマートに見えます。コルセットを必死に締めあげて細く見せるよりも、効果的かもしれません。ウエストの位置も高くなり足が長く見える効果もあるでしょう。そして、スカートが長くなる分、ボリュームが出てより華やかなドレスが仕立てられると思うのです」

 社交界で流行を作り出すのは、上位貴族の女性だ。

「なるほど……確かに、痩せるよりも靴で身長を伸ばした方が楽かもしれませんわね?ですが、可愛げが無いと思われませんか?」

「あら、社交界って、女性の目こそ大切なのではありませんか?」

 男性にもてるためのファッションを求めているのであれば、新しい流行など必要ない。貴族の女性は、その大半は既婚か婚約者がいる。男性の視線を集めることよりも、女性として流行おくれだとか似合わないとか古いドレスだとか恥ずかしい噂を立てられないようにとドレスを選んでいると思っているんだけれど。違ったのかな?

 エカテリーゼ様がこういっていたああいっていたというお兄様の話を聞いているとお兄様に美しい姿を見せたいというより、社交界で恥をかかないようにドレスをねだっていたような気が。

「そうね、確かだわ。王妃様、そして公爵家の方々が流行は作り出していくものですわね。男性がどう思おうと、女性のファッションに口を出す者ではありませんわね」

 身長が高い方が美しいドレスのデザインがたくさん出来上がってきたら。いつかこっそりエミリーにも作ってプレゼントしよう。

 あまり体に密着したデザインだと、細かいサイズが分からないと作れないから、ゆったりしたデザインも考えてもらって……。

「ふふふ、背の高い女は女じゃないと言っていた方々は、かかとの高い靴が流行ったらどう言うのでしょうね。ああ、噂をすれば、あちらにブルーレ伯爵令息の姿が」

 ローレル様に言われると、少し先の馬車の窓から、ブルーレ伯爵令息の顔が見えた。

 あれ?

 ちらりと、その奥に一瞬見えたのは、エカテリーゼ様?

 ……お2人はお知り合いなのかしら?

 だとしても、お兄様という婚約者がいらっしゃるのに、別の男性の馬車に……?

 いえ二人きりとは限りませんわね。エカテリーゼ様は寂しがり屋ですから。お友達と、皆で馬車から出陣パレードを見ているんですわよね?

「あら、まだ途中だと言うのに、カーテンを閉めてしまいましたね。皇太子の晴れ姿もこの後だと言うのに」

 ローレル様の言うように、まだパレードは続いているのに、ブルーレ伯爵令息は馬車のカーテンを閉めてしまった。

 首を傾げた私の耳に、さらに大きくなった人々の歓声が並みのように届いた。

 歓声の波は、次第にまとまり言葉となって民衆の心を一つに束ねるようだ。

「シェミリオール殿下バンザーイ、シェミリオール殿下バンザーイ」

 殿下が姿を現したようだ。

「ああ、ここからじゃまだ見えないわね」

 ローレル様が乗り出すように窓の外を見ている。

「あ、ほら、見えたわ!あれよ!ほら、リリー様」

 ローレル様に言われて窓の外に目を向ける。

「シェミリオール殿下バンザーイ、シェミリオール殿下バンザーイ」

 波のような声が、頭に響き渡る。

「シェミリオール殿下バンザーイ、シェミリオール殿下バンザーイ」

 何かローレル様が言っているけれどまるっきり頭に入ってこない。

 青い制服に身を包んだ騎士たちの中心にシェミリオール皇太子殿下のお姿が見える。


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