リメイクしたというか?
「布だけで作られた花ではなく、リボンやレースもあしらわれて、より手がこんでいるんですわね。可愛らしさがあって貴方に似合っていますわよ」
褒めてもらえた。
「ありがとうございます。自分で手を加えてみたんです」
リボンの縁取りレースが楽しくなってしまって、スカート部分につけた花には縁取りレースつきのリボンをプラスしちゃいました。
「まあ、そうでしたの。ご自身でドレスのリメイクを。ふふ、才能がありますのね」
え?ドレスをリメイクしたわけじゃなくて、私が手を加えたのは、リボンだけ……ローレル様がなにか誤解してしまったみたい。
でもまって、新しいドレスをバンバン買えるだけの家だと思われるよりも、このまま誤解していただいた方がいいのかしら?
ローレル様の後ろの二人は、先月と同じドレスのようだし……。
といっても、新しいドレスを作るたびにオレンジ色にしたらクローゼットがオレンジのドレスだらけになってしまう。金銭的理由ばかりでなく作っていない可能性もあるのだけれど……。
あれ?これって……この、空前のオレンジ色ブームって、このコサージュの売り込みに最高のチャンスなんじゃない?
「実は、仕立屋に教えていただいたんです」
と、ドレスに縫い付けたコサージュでは見せにくいので、エミリーに上げる予定のものをポケットから取り出す。男性用だけれど構わないだろう。
「見てください、これ、ブーケ・ド・コサージュって言うんですけれど」
ローレル様が手のひらの半分くらいのサイズの男性用コサージュを手に取る。
「裏にピンがついていますでしょう?それも、その仕立屋さんが開発した安全な物なのですが」
「ああ、ブローチみたいに服に止められるようになっているのね?」
ローレル様がピンと聞いてすぐに用途を思いついたようだ。
「ええ、実はこの花の形をした飾り、取り外しが簡単にできるんです」
「まぁ!本当に?では、もしかして……」
取り外しが簡単と聞いて、またもやローレル様はすぐに気が付いたようだ。
「もしかして、外すとイメージの違うドレスになると言うこと?そうなんですね?」
ローレル様の言葉に頷くと、後ろの二人も興味深げに、顔をのぞかせる。
「ええ、実は、すでにこのブーケ・ド・コサージュの他にも、リボンを中心に花をあしらったものだとか、一つの花のものだとか、レースをふんだんに使っているものだとかいくつかありますの。次回は、それに付け替えて舞踏会に出ようとおもっているんですわ」
後ろの一人がちょっと貴族令嬢としてははしたないくらいの大きな声を出した。




