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修道院行きは叶わない

「修道院に行くだと?許さん、許さん、許さんぞ!」

 娘には甘いお父様が珍しく激怒している。

 私が「修道院に行こうと思います」と一言長年の気持ちを伝えたがためだ。

「ですが、お父様……私は」

「公爵家の令嬢が修道院に行くなど、皇太子の婚約者を階段から突き落として殺そうとした罪に問われた時くらいだぞ!」

 お父様が言うことも確かだ。

 我が国では、自分よりも身分の高い者に対して行った罪は重たい。逆に自分より立場が下の者に行った罪は軽い。

 公爵令嬢ともなると、同じ公爵家か王家の者に対して罪を犯した場合は相手が負った被害の5倍返し。身分が下の者に対しては、被害の最大でも同等。相手の身分によっては、半分以下。無罪になることすらある。

 当然だけれど、横領などは国……つまり王族への犯罪になるため罪は重い。庶民も王の民なので、むやみに民……つまり王の財産を奪う行為なので王族に対してん犯罪となるため罪の重さは内容により大差がつく。

 つまりは貴族同士のもめごとの場合は、ということだ。

 公爵令嬢の私であれば、一番思い罪が死刑。当然ながらめったにない。王族に何かしようなんてね、しようと思ったって、王族ってがちがちに護衛がついていて、できるはずもないのよ。プロに依頼するくらいしか。

 で、死刑の次に思い罰が、貴族としての地位はく奪のうえ修道院行きなわけだ。

 修道院にいる元貴族の娘……それだけで、世間は「犯罪者」だと認識する。

 いや、修道院は犯罪者のための施設じゃないんだけれど。貴族の娘に関しては罰として入れられる場所の意味合いが強いのよ。

 修道院としても、貴族の娘の親たちからの支援はありがたく、犯罪者と分かっていても受け入れてくれるからね……。

 つまりは、だ。結婚したくないと修道院に入る女性は犯罪者と同じ目で見られ、同じように扱われる……。

「ですが、お父様、私は……」

「分かっている。結婚したくないというのだろう?」

 お父様の怒りは少し収まったようで、テーブルの上に置いてあったカップからごくりと水を飲んで喉を潤す。

 ふぅとゆっくりと息を吐きだすと、私の頭を撫でようと手を伸ばして、すぐにひっこめた。

 お父様がちょっと悲しそうな顔を見せる。

「お父様大丈夫です」

 ニコリとほほ笑んで、お父様の手を取り、頭に導く。

 撫でてほしい。もう17歳。社交界デビューするのは通常15歳だ。大人として扱われる年齢。もう子供じゃない。

 だけれど、子供のように頭をなでてほしかった。

 お父様が私の頭をゆっくりと愛しそうに撫でてくれる。

 だけれど、その時間は長くなくて。


ご覧いただきありがとうございます。

楽しんでいただけると幸いです。


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[気になる点] 余字:ん >庶民も王の民なので、むやみに民……つまり王の財産を奪う行為なので王族に対して(ん)犯罪となるため罪の重さは内容により大差がつく。 誤変換:重い >公爵令嬢の私であれば、一…
[気になる点] 庶民も王の民なので、むやみに民……つまり王の財産を奪う行為なので王族に対してん犯罪となるため罪の重さは内容により大差がつく。 →王族に対しての犯罪 [一言] 「リリー」(百合)という名…
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