羊の森
「個性」って大切だと思うんです。個性はつまりアイデンティティ、自分らしさってことだと思うんです。世界に一つだけのもので、しかも自分だけのものだと思うんです。人に嫌われるのも、イジメが無くならないのも、この世界にルールが必要なのも、皆が違うからこそだと思うんです。
深くて暗い森で迷ってしまった羊は、決して外に出ることはできません。どこまで行っても同じ木ばかり。風が吹けばみんな同時にさざめき、揺れる。羊はひたすら歩くだけ。でも決して森から出ることはありません。そしてある日、羊は森の声を聞きました。
「君は誰?」
「僕は…誰だっけ?」