番号呼びってなんかカッコいい
「ガムテープ海苔を使ってどうするんだ?」
1人が尋ねる。言い出しっぺは得意げな表情をしながら缶を開けて海苔を1枚取り出す。海苔は食べやすいように長方形の形でカットされている。
「フフフ、まずはこれの片面を舐めます。」
言い出しっぺはペロッと片面を舐め回す。
「そしてこう!」
そう言うと言い出しっぺは自分の左のこめかみのあたりに海苔を貼りつける。勢いよく貼り付けたためバシッと快音が響く。そのまま無言で言い出しっぺは満足気な表情を浮かべている。
「、、なにそれ?」
1人が尋ねる。
「1!ほらこのガムテープ海苔で数字を1から50まで作ってさ、俺ら一人ひとりに貼り付けて数字で呼べばよくね?」
「、、、」×49
言い出しっぺは周りを囲まれポカポカと頭を叩かれ始めた。
「い、痛!な、なんで今度はまともじゃん!?」
「うっせ。」
「なおのこと名前考えたの意味無くなったじゃねえか。」
「脛をどこかにぶつけろ。」
「ヒュドラに噛まれてこい。」
言い出しっぺがひと通りポカポカされた後、1人が言い出しっぺの貼り付けた海苔を指差した。
「だいたい、こんな海苔簡単に剥がせ、、あれ?」
言い出しっぺの海苔を剥がそうとするが剥がれない。
「く、くそ!全然剥がれねえ!なんだこれは!?」
言い出しっぺは片膝をついた体勢で得意げな表情を浮かべている。
「気づいたか?このガムテープ海苔の凄さに。」
「す、凄え。角の部分を何度も引っ掻いても少しも剥がれない!これが名産ガムテープ海苔!?」
「そうだ。山を軽々と投げれるほどの怪力を持つ我々が剥がせない。それほどまでにこのガムテープ海苔は強力なのだ!」
「す、すげえ。」
「まず簡単には数字が消えないことは理解しただろう?さらに数字で呼ぶことには意味があるのさ。」
「な!なんだと!?」
「お前ら、この前キュクロプスくん家で見たドラマの事覚えているか?」
「何だっけ?」
「確か監獄から脱獄するやつじゃなかったか?」
「そうだそれ。」
周りがザワザワとする。
「フフフ、そのドラマで主人公は看守から何と呼ばれてた?」
「確か囚人番号135番、、ハッ!?」
「気づいたか?そう!番号で呼ばれていた!お前たち思わなかったか!?なんかカッコいいと!」
言い出しっぺは声高く周りに問いかける。周囲の自分たちは体に電流が走ったかのごとく感銘をうける。
「た、確かに!」×49
「そうだろう?何故かカッコいい。そしてここは冥府の監獄タルタロス!ドラマの舞台と同じ監獄だ!囚人ではないが看守番号何某と変えてもしっくりくる。、、いい加減お前らも気づいただろう?この『名産ガムテープ海苔』がもたらす恩恵を?」
「、、、」×49
皆は言い出しっぺを囲み拍手を送る。
「す、凄え。」
「何も考えてない馬鹿かと思ったが天才だったか。」
「よ!冥府のアインシュタイン!」
「りんご食ったか。」
言い出しっぺは人差し指で鼻下を擦りながら照れている。
「フフフ、わかってくれたようだな皆。そうと決まれば早速貼り付けだ!」
「オオッ!」×49
皆は片腕を天に突き上げ叫んだ。その後、左こめかみにガムテープ海苔を使い数字を作って貼った。