君の名は
「確かにそうだな。」
「分かれたんだ。」
「名前同じだと誰呼んだかわかんないからな。」
「言い出しっぺの言う通りだ。」
皆がざわざわしだした。
言い出しっぺはニコニコで指揮をとり始める。
「よしそれじゃ!各々名乗りたい名前を考えて発表する事!制限時間は1分!はいスタート!」
言い出しっぺは勢いよく腕を振り上げる。
「どうする!?」
「お、俺!日本てとこの名前名乗りたい!」
「文字数制限はないんだろうな!?」
「うおーカッコいい名前をつけるぜぇ!」
皆は楽しそうにざわざわしている。
そして制限時間を迎えた。
「はい!しゅーりょー終了!では結果発表ーー!!ハイ!みんな横に並んで!」
言い出しっぺの指示どおりに皆は並び始める。うまく連携がとれてないのか並ぶ際にぶつかってそこら辺からイタッと声が聞こえる。
「よーし!じゃあ行くぞー!君の名前は?」
端から順に聴いていく。
「ジョン」
「ピクルス」
「ピンチス」
「平等院シゲクニ」
「クルノア・アルデヒド・ヘルニア・ペンタコ・L・オリオンニューゲート」
「ちん○ん」
「円城寺武ノ神子」
「ワイナイナ」
「ゼウス」
「ツァーリ」
「オダギリジョン」
「グンマー・ケン」
・
・
・
言い出しっぺは一人ずつ聴きながら満足気にウンウンと頷き端から端まで聴き終わる。
「ウンウン!皆最高の名前を考えてくれたな!俺は嬉しいぞ!これからよろしくなみんな!」
「オォ!」×49
列の並びは崩れて皆お互いによろしくな!と言い合っている。
言い出しっぺが近くの奴の肩を叩く。
「よろしくなっ!オダギリジョン!」
「いや俺円城寺武ノ神子だけど。」
「はは!間違えた!よろしくな!オダギリジョン!」
別の近くの奴の肩を叩く。
「いや俺ちん○んだけど。」
「、、、。」×50
一同重大なことに気がつく。
「俺ら見た目が同じだから見分けつかないじゃん!!」×50
彼らはまったく同じ見た目である。髪のない頭部、肌の色は日に当たる事がないため青白い、マッチョ体型、声も同じ、背も同じ。名前を決めたとこで外見の見分けがつかないから呼びようがない。
「、、、。」×49
皆言い出しっぺを取り囲み、ポカポカと叩き始める。
「ちょっ!痛!なんで!?」
「うっせ。」
「意味なかったじゃねーか。」
「期待させやがって。」
「ゴルゴーンとにらめっこしてこい。」
ポカポカと叩かれながらも言い出しっぺは諦めない。
「くそぉー!でも絶対名前あった方が良いってー!」
そう言いながら周りからの集中攻撃に耐えていると、言い出しっぺの視界にあるものが入ってきた。
「あ、あれは!?海苔だ!キュクロプスくんが地上にお忍び観光してきた時に買ってきた口の中に張り付くとなかなか取れない『名産ガムテープ海苔』!そうだ!あれを使うんだ!みな!聞いてくれ!」
「???」×49
「さっきは俺が悪かった。浅はかだった。潮干狩りが余裕でできるくらいにな!しかーし!やはり個別に名前を付けることは今でも必要だと思ってる!でもどうするかって?こ!れ!さ!」
「あれは!?『名産ガムテープ海苔』!」×49
「そう!これこそが我らを救うノアの箱舟なのだ!」
言い出しっぺはそう言い『名産ガムテープ海苔』の缶を高らかに挙げた。