分裂
「おい、何をするんだ?」
頭の1つが尋ねる。
「ほら、大概の物って高いとこから落っこちたらバラバラになるじゃん。」
分裂を言い出した頭が陽気に答える。
「は?」×49
周りの頭たちの顔から血の気が引いていく。
「だからこの青銅の壁からバンジーして俺らも見事バラバラ。めでたしめでたしってね!笑」
言い出しっぺはニコニコである。
「おいやめろ!」
「くそ!今はこいつが体の支配権握ってやがる!」
「バンジーって紐無いじゃねえか!」
「こいつもサイコパスだったか!」
「いざや行かん夢幻の彼方へ〜!」
「やめろ〜!!!!」×49
50の頭と100の腕を持つ怪物は地上から遥か高くの位置から頭から飛び降りた。
怪物が地面に衝突した瞬間、ボウリングのピンが弾けたような快音が響き渡った。
「うわ〜!!!」×50
まるでポップコーンが弾けるようにバラバラに飛び散った。見事分裂に成功したのである。
「い、生きてる。」
「よかった。」
「死ぬかと思った。」
所々から溢れる安堵の声。
「ふふふ、どーだいみんなー!やればできただろう!」
言いだしっぺと思われる奴が両手を挙げて声高らかに叫んでいる。
「、、、」×49
言いだしっぺの周りを皆が囲む。そして1人ずつそいつの頭をポカポカと叩く。
「い、痛!?な、なんで!?成功したじゃん!」
「うっせ。」
「死ぬかと思ったじゃねえか。」
「地獄に落ちろ。いやここ地獄より下だった。地獄に登れ。」
「風邪引け。」
「虫歯になれ。」
などなど、皆から罵声とゲンコツをもらいながら言い出しっぺは、めげずに話を続ける。
「と、とにかく!何はともあれ分裂に成功したんだ!俺たちよ!まずやらなければいけないことがあるだろう?」
「なんだ?」
「わかる?」
「わかんね。」
「勿体ぶらずに言えよ。」
「下痢になれ。」
「足の小指大岩にぶつけろ。」
「それはだなー!そこの俺!名前は!?」
言い出しっぺはそこらへんにいた1人を指差す。
「俺?ギューエースだけど。」
続いて別の奴を指差す。
「じゃそこの俺はー!?」
「ギューエースだけど。」
「じゃそこの俺はー!?」
「ギューエースだけど。」
「じゃそk」
「ギューe」
「じゃそk」
「ギューe」
「じゃそk」
「ギューe」
「って!みんな同じ名前やないかーい!?これじゃこんがらがるじゃろがーい!?はい、ということで1人ずつ名前決めたいと思いまーす!」