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「あ、来るの遅いね〜」


「呼ばれて直ぐに来たのですが」


陛下の部屋には顔パスで通される。

そんな警護体制で大丈夫なのだろうか。


「シルヴィア〜綺麗だよ!」


「ありがとうございます」


「固くならないで。戴冠式の後には婚約式もやるから最後まで楽しまないと!主役が楽しまないと皆も楽しめないでしょう?」


えっと、今日は戴冠式だよね。

それは分かる。

その後に何があると言ったか。


「婚約式は1年後ですよね?」


「え?明日って話を1日早めたって事だけど、シルヴィアは話聞いてた?」


コテンと頭を傾げるシャイローのきょとんとした顔。

色々あり過ぎて情報の処理と記憶力が低下してたんだな。


「なぜ早まったのですか?」


1日でも早まるなら理由があるのだろう。

自分の失態を隠すように質問するとシャイローはカインをチラッと見て溜息を吐いた。


「ルーファスが謀反を起こして討伐されちゃって、母上がそれにショックを受けて倒れちゃった」


「え!?」


「王太子として教育をお願いします。私の次は兄上なのでって流刑地に親子で送ろうと思ったのにそれが出来なくなった。母上はもうルーファスに期待する事が出来なくなったから俺に縋るしかない。そこで今現在王太子として居るカインを疎ましく思う」


「カインを殺そうと?」


「秘密裏に動いてるみたいですね。一晩しか経ってないのに本当に行動が早い」


シャイローの説明に私が顔を青くして聞いていると、気にしていなそうなカインの声。


「だから戴冠式と一緒にシルヴィアとの婚約式をして少しだけでも行動に歯止めを効かせるつもり」


「歯止めになるかしら?」


「ならないですね」


「だったら勝手な行動しないでくれる?」


初めて聞く不機嫌なシャイローの声をカインは目を反らして聞かなかったフリ。

この兄弟には何かがあったのかも。


「それより婚約期間も縮めてしまいましょう。そうすれば貴方の母上もきっとお喜びになりますよ」


「……それが狙いだったのか…」


ギリギリ歯を鳴らしながら睨みつけるシャイローは軟派な感じがしなくて、今まで見た事がない一面だ。


「シルヴィア、結婚が早まるなら領地の下見にも行かなきゃいけませんね。それなら明日行きましょう!」


強行にも程がある!!


「婚約期間は3ヶ月に短縮。領地には来月下見に行って」


もう全てを諦めたようなシャイローが白い目でこちらを見る。


「戴冠式と一緒にリーディアとの結婚式もするから」


「なぜシャイローだけ婚約ではないのです?」


「何そのズルいみたいな顔。お前のせいで予定が狂って遡ってこの国にリーディアが来た時に婚約して今回の戴冠式に合わせて結婚式という計画が遂行された」


「世継ぎの問題ですね」


クスクス笑うカインと不機嫌が蓄積されていくシャイロー。

止めた方が良いのは分かるけど、口が挟めない。


「私達はゆっくり計画的に跡継ぎを作りましょう」


「シルヴィア独り占めとか子供くさ〜い」


「跡継ぎが出来なくても頃合いを見て養子を取ってもいいですね」


「無視とか大人気無〜い」


「二人で楽しく毎日を過ごせれば私は幸せなので」


シャイローを無視した上で私を抱き寄せてくるカインは子供っぽいのに色気が出ていて混乱する。

グイグイ迫ってくるのに困って助けを求めるようにシャイローを見ても目を反らされた。

溜息吐きながら。

そして何も口を挟めないまま、私とカインはあっという間に正式な婚約者となり、3ヶ月後に夫婦になった。

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