冬が来るから鍋と喋ってみた ~なあ、鍋。もうすぐ冬が来るぞ~
なんか鍋の話を友人としたので、ちょっと書いてみました。
「なあ、鍋。もうすぐ冬がくるぞ」
『そうだな』
俺は、台所の奥底に眠っていた鍋を洗いながら語りかける。
なぜか鍋がしゃべり出したが、まあ別に気にすることではないだろう。
「なあ、鍋。寒くなってきたから暖房を付けたいんだが、灯油が高いんだ」
『金稼げよ』
「簡単に言うなよな」
ちなみに、今はエアコンからの暖房で済ましている。が、俺はヒーター派なので灯油がどうしても必要なのだ。なぜエアコンよりもヒーターなのかはあまり聞かないでくれ。
「なあ、鍋」
『今度はなんだ?』
「お前から話しかけてくれよな」
『無理だな。おれは自分から話すことができねえんだ。反応するぐらいしかできねえ』
へえ。鍋にもいろいろあるんだな。まあ、一人の退屈とさみしさしのぎにはなる。
俺は、冷たい水をふきんで拭き取りながらまた話しかける。
「なあ、鍋」
『なんだ?』
「お前、何鍋に使われたい?」
そう言うと、しばしの沈黙が。そして、鍋の答えは――
『すき焼き』
「高いねぇ」
『頑張れよ』
「今年は無理かなぁ」
何しろ、灯油も買えないくらいかつかつなのだ。すき焼きなんてやってられない。
「普通に鍋やるか~」
『また来年は楽しみにしてるからな』
「お金稼げてるかわかんねえけどなぁ」
そんな家ですき焼きをできるぐらいに儲かっている自分を想像することができない。
「ま、今年も宝くじに賭けますか」
『当たったことは?』
「残念ながらないっ!」
堂々と言い切る俺。あんなもの、当たる気配すらしないからな。
まあ、そんなことはともかく・・・・・・。
「今年の冬もお世話になります」
『ん。よろしく』
最後までお読みいただきありがとうございます。よかったら、鍋の具は何かとか感想欄に綴ってみてください。