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2.なんとかなる。きっとなる











クソうぜぇ



「それにしても、こんな所で何をしているんだい?」


「目が覚めたらここだったんだよ」



なんだか信用できる気がして、ペラペラと全部喋ってしまった。迂闊な気がしたけども、まぁ、いいか。


暫く何事か考えたようで、少したってから大袈裟に腕を動かして舞台役者のように語り始めた。



「それは、さぞ辛いだろう!」


「はぁ?」


「安心したまえ! 僕が一緒に帰る方法を探そうじゃないか! なぁに、心配しなくても大丈夫さ、この僕がついているんだ。不可能という言葉を持たぬ僕がねッ!」


「別に帰れなくても構わないんだがな」



積極的に帰る方法を探すつもりはない。向こうにいようが、この世界にいようが特にやることは変わらないからだ。それに、折角ファンタジー異世界に来れたのだから、観光とかしてみたい。



「しかし、君には家族がいるだろう?」


「いや、父は俺が産まれる前に亡くなっていたし、母も俺を産んで直ぐに亡くなった。親戚もいないから、天涯孤独の身だ。だから、元の世界にそこまで未練はない」



それに、戻る方法が無いかもしれないしな、と、笑って答える。正直、気をつかわれるのが一番嫌いだ。両親の顔は写真でしかしれなかったのは悲しいが、俺が生活できるだけのモノを残してくれたし、それなりに幸せだった。


人は俺を不幸と思うかもしれないが、それは違う。おれは普通に幸せだった。これからは知らんけど



「………強いんだね、君は」


「そうでもないさ、吹っ切れてるだけだ」


「そうかい、しかし、何か困ったことがあったらなんでも相談してくれたまえ」


「そうか、ありがとう。そういや、名前聞いて無いな、俺は北条(ホウジョウ) (レツ)……いや、こっちならレツ・ホウジョウか?」


「レツくんか。いい名前だねッ! 僕は、アーサー。アーサー・ロクザンだよ」


「そうか、アーサー。それで、さっきから気になってたんだが、なんか顔が青いぞ」



そう、無駄に整った容姿をしたアーサーの顔は、青白かったのだ。まるで生気をかんじない。しかし、それが逆に浮世離れしていてイケメンが際立っている。


なんかの病気なのか? 無駄にイケメンなナルシストだし、病弱設定があってもおかしくない。



「あぁ、僕はゾンビだからねッ!」



ドヤ顔でそう言うアーサーだが、その言葉に思わず惚けてしまう。



「Why?」



またまた英語が出てしまった。ゾンビって、こんなんでいいのか?



「それにしても、君のいた世界の住人は全員魔人なのかい?」


「は? 人間だけど?」



この際ゾンビのことはどうでもいいとして、なんでそこで魔人なんていう悪役ポジションの名前が? 何をしてそう思ったのだ?



「え? だって君、魔人じゃない」


「はい?」


「………ステータスって頭の中で念じてみて」



真顔のアーサーに言われて、ステータスと念じてみた。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━



【名前】レツ・ホウジョウ

【種族】魔人族

【年齢】18

【属性】無、闇


≪魔法≫

【無魔法】【闇魔法】


≪ギフト≫

【柔術】【体術】

【魔力増強】【魔属性付加】


≪特殊能力≫

次元収納ディメンションポケット

永久機関(エンドレスエナジー)


≪アーキタイプアビリティ≫

情報の支配者(ワレハスベテナリ)


≪称号≫

【異世界人(隠蔽)】【情報の支配者】



━━━━━━━━━━━━━━━━━━



は?


ちょいまち、種族のこととかどうでもよくなりそうなんだけど………



「≪アーキタイプアビリティ≫ってなんだよ」


「おや? レツくんも≪アーキタイプアビリティ≫を持っているのかい?」


「あぁ、よく分からんが」


「≪アーキタイプアビリティ≫っていうのは、この世界の根源たる神にも届く力ッ! これを持つ者は、正しく現人神。≪特殊能力≫など比べ物にならないほどの能力だよッ!」


「へぇ」


「ちなみに僕も持っているよッ!」



それだと、凄いのか分からなくなるぞ、≪アーキタイプアビリティ≫


まぁ、とにかく凄い能力だっていうのは分かった。それにしても、【情報の支配者】ってなんだよ、なんか『起動しますか?』とかあるんだけど………


とりあえず起動してみると、膨大な情報が周りから集まってくる。まるで、目の前に巨大なディスプレイがあるかのように、様々な情報が表示されている。


目に入った草木の名前、その詳細、用途、さらにそれに類似した情報(・・)が………目に入った“全て”から情報が手に入り、さらにそこから類似した情報まで飛び込んでくる。


正直言って邪魔だ。そう思ったら、小さくなって視界の隅に移動した。相変わらず更新されていくようだが、気にはならなくなった。



「どうかしたのかい?」


「いや、なんでもない」



俺が止まっていたからそんなことを聞いてきたのだろう。気にするなと、ヒラヒラ手を振り、気になったアーサーのステータスを見てみる。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━


【名前】アーサー・ロクザン

【種族】屍人族

【年齢】不明

【属性】無、火、雷、光、聖


≪魔法≫

【無魔法】【火魔法】

【雷魔法】【光魔法】

【聖魔法】【陣魔法】

【印魔法】


≪ギフト≫

【剣術】【体術】

【心眼】【再生】

【異常耐性】


≪特殊能力≫

星輝光刃(ステララーマ)

星輝光鎧(ステラアルマトゥーラ)


≪アーキタイプアビリティ≫

華麗なる極光(ワレハカガヤキナリ)


≪称号≫

【真なる勇者】【大英雄】

【世界の救世主】【人を超越せし者】

【屍体となった英雄】【死せし伝説】

【目立ちたがり】【華麗なる極光】



━━━━━━━━━━━━━━━━━━



なんだコイツ、勇者とか、大英雄とか、世界の救世主とか………


それにしても、ゾンビっていうか屍人族っていうんだな、しかし、弱点であろう光とか聖とか使えるって、トンでもないな、おい。とにもかくにもコイツが凄い奴なのは分かった。


それにしても、“目立ちたがり”とか、それ称号なのか?


あ、そうだ。



「俺が魔人だっていうのは分かったけど、魔人ってなんだ?」



能力で調べればいいのだが、聞いたほうが早い気がするので聞いてみた。



「あぁ、人類……エルフやドワーフ、獣人なんかの種族の共通の敵、魔物となった人という感じだね!」


「なにそれ、魔王でも目指せってか」


「それもいいかもねッ! 僕は勇者だけど、倒したのは理性を失い邪悪に堕ちた魔王だったから、ただ魔王になっただけじゃレツくんを倒さないよッ!」



それに僕もゾンビだしねッ! とドヤ顔で笑うアーサーに、思わず蹴りをいれてしまう。



「何をするんだいッ!?」


「いや、ムカついたから」


「ドストレートッ!?」


「今の状況は分かった、俺もお前も人類に友好的だが、種族が邪魔をしている」


「その通りッ!」


「じゃ、とりあえず強くなるか」


「シンプルッ! しかし、それはいい。僕も付き合っていいかな? 君といると楽しそうだッ!」


「俺もなんだかそんな気がするよ」



こうして、俺とアーサーの異世界生活が始まった。


後に、この世界中で有名になるとも知らずに……






凄いけどうざいゾンビです

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