表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/6

Case.3 未確認警察署襲撃事件

 未確認生物第15号発見、実はこの事件はただ発見されたわけではない。

 ()()()()()に取り付けられた監視カメラの映像から、以下の記録を得た。

 それを見てもらった方が早いだろう。



 午後5時、外は暗くなり始め人々も帰り始める頃、突然にそれはやって来た。

 窓ガラスが割られ、その音に気づいた全員がそちらを向く。

 そこに居たのは異形の生命体だった。

 筋肉が大きく隆起し、黒い体からは湯気を発する、そしてなによりも目を引くのは巨大な2本の『角』であった。


 牛型未確認生物、今でこそそう呼ばれ有名であるが、その当初はそれが未確認生物だと気づけた者はすくなかったという。


「おいおい、なんだこの牛の着ぐるみは……。

窓ガラスを割り中に入るのは器物損壊と不法侵入のダブルコンボだぞ?」


 不用意に1人の男性警官が近づく。

 それがいけなかった。

 彼は完全に油断していた。

 頭のおかしい奴が入ってきた程度にしか考えていなかったのだ。


 グッと身をかがめ、足を曲げ、力を貯める。

 牛型未確認がその体勢を取った時、ただ1人、佐沼刑事は危険を感じ取り叫んだ。


「避けて!!」


 遅かった。

 突進である。

 パァンと弾ける音がして、男性警官がふっ飛ばされ天井に張りついた。

 途端に辺りに血が降り注ぎ、署内はパニックとなる。


「未確認生物だっ!!」

「ついに現れた……!!」

「に、逃げろぉっ!!」


「待って!慌てないで!!」


 佐沼が叫ぶも、無駄だった。

 牛型未確認の動きは、パワーがあるのに俊敏で、そこにいた警官たちを次々に突進で撥ね飛ばしていく。


「ひぃ、ふぅ、みぃ……たくさん……でも、いっぱい、にげられた」


 牛型未確認は指をさして死体を数える。

 そして飛び跳ねて喜ぶ。


「へっへっへ、いっぱい、ころした。

おで、さいきょう、しゅりょうさまに、ほめられる」


 佐沼は彼の発言を聞き逃さなかった。

 そして身を隠しながら、推理する。

 牛型未確認の言葉の意味を。


(しゅりょうさま……首領様?

 未確認生物たちには……親玉のような存在がいる……?)


「くん、くん……まだ、におう。

いきてるニンゲンのにおいだぁ〜」


 ドガァン、佐沼の隠れているデスクの隣のデスクが吹き飛ぶ。

 心臓が高鳴る。

 次に奴が狙うのは自分のいる場所だろうか、と焦りが押し寄せる。


「あせ……かいてるぅ?」


 目の前に、いた。


「うわああぁぁぁあっっ!!」


 バン!バン!バンバン!バン!

 カチッカチッ……。

 佐沼の放った弾丸は全弾、牛型未確認の額に命中した。


 だが、まるで効いていないようだった。

 ポリポリと額を掻き、首をかしげていた。


「き、き、きかない……おで、さいきょう」


 ニィィと口角を上げ、真っ白な目がグニャリと歪む。

 牛型未確認は、佐沼の眼前30センチの所で突進の体勢をとった。

 佐沼は、死を覚悟した。

 その瞬間を見ないように、ぐっと目をつぶっていた。


 だが、次に聞こえた音は意外な音だった。

 それは、悲鳴。

 牛型未確認の悲鳴だった。


「いたぁぁぁあああいぃぃ!!」


 佐沼はハッとして、前へ向き直る。

 そこに居たのは、牛型未確認に拳を叩き込んだと思われる、お面をつけた大柄な男だった。

 彼は佐沼の方を向き、言った。


「さぁ、今のうちに逃げるんだ」


 佐沼はその声にどこか聞き覚えがあった。

 だが、今は逃げることに夢中になっていた。


 ここから先は、映像に映っていたことを事実として述べる。

 まず、お面の男が牛型未確認の巨大な体躯を持ち上げ、投げ飛ばした。

 しかし、牛型未確認はあまり効いていないようで、すぐに突進をしようと身構える。


 その強靭そうな太い脚にパワーが満ちたと見えた瞬間、牛型未確認の体はお面の男に向かっていた。

 そして、ぶつかる。

 ゴィンと、まるで分厚い鉄板に鉄球をぶつけたような音が鳴った。


 お面の男は、なおも立っていた。

 あの人間を紙細工のように撥ね飛ばした突進を食らってなお、立っていたのだ。

 そして、そのまま牛型未確認の角をガシリと両手で掴み、ボキリと折る。


「ぎゃぁぁああぁっっ!!!」


 凄まじい悲鳴が響き渡る。

 牛型未確認の立派な角のあった場所から赤い血がドボドボとほとばしった。


「お前も、そんなものか」


 お面の男はそう言うと、牛型未確認の目を潰し、舌を引き抜き、四肢を複雑に折り曲げた。

 牛型未確認は満身創痍になり、舌足らずな声で命乞いをしていた。


「あ、あ、あしゅえぇ(たすけて)……」


「助けないよ……オレはお前らを殺す……」


 この後、お面の男が何かを言ったが、雑音ノイズが入っており聞き取ることはできなかった。

 とにかく、お面の男は牛型未確認の首を手刀で切り落とし、決着がついた。

 次の瞬間、牛型未確認の血が飛び散りカメラに付着したため、これ以降お面の男を追うことはできなかった。


 結局、この事件で7名もの警官が犠牲になった。

 生き残った者達にも、ショックが残ったり、精神を病んでしまう者も出た。

 そしてこの凄惨な事件は、警察にはもちろん、世間にも大きなショックを与えることになった。


 後日、この映像を病院で見た宇海警部は、映っていた男が自身を助けた男であると断言した。

 そのため、このお面の男がアンノウン・スレイヤーであることが、警察上層部では確定的となったのである。

 その結果として、とんでもないことになるのだが……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ