第22話 情報
ユウは兄の元へ、度々訪れた。
監視付きで、部屋から一歩も出られない不自由な兄を気遣う気持ちと――
生きていた喜びで、ユウは明るい笑顔を見せている。
レイカとゴードンも、同行を許可された。
ユウが喋る言葉がレイカに筒抜けなら……ユウと兄との会話も、知られてしまう。
どうせ同じなら、同行させた方がユウが監視役となり、抑止力になるだろう。
ゴードンは完全に巻き添えだが、事を知っているだけに放置も出来なかった。
「ユウ、お前凄いな! ここで一番の”精鋭部隊”なんだって? ”英雄”とも聞いたぞ」
兄・ハジメは、レイカとゴードンから聞いた内容を、楽しそうに話した。
ユウは困って、嫌そうな顔をする。
「やめてよ……」
しかし、もう話し出したら止まらないようで、ゴードンとレイカがハイテンションだ。
「ユウは凄いんだ! 一言二言しか言わないのに、助言貰った奴ら全員、超上達したんだぜ! 俺もだけど!」
「あんたこの前、ユウに決闘を挑んでボロ負けしたじゃないの。よく一緒にいるわね~」
「俺達は、いまやマブダチだぜ。なぁユウ!」
ユウは苦笑する。
これでは自分が、全然兄と話が出来ない。
色々と、聞きたい事はあるが……。
ゴードンとレイカが楽しそうなので、まぁいいか……と少し諦めた。
これからずっと一緒なのだから、時間はある。
「そうか、ユウがあのリーダーさんと同じ服なのは”精鋭部隊”ってやつの制服なのか」
「俺達、子供はみんな憧れているんだ~、カッコイイっすよね~」
ユウは、ハジメから情報を引き出せと、命令を受けている。
しかしゴードンとレイカのせいで、情報を提供しまくっているのは、こっちだった。
「そういやユウ。お前……身体、大丈夫なの?」
ゴードンが思い出したように、聞いた。
「……どうか、したのかい?」
ハジメの目つきが変わった。
弟を心配しているのか、少し鋭い視線を、ユウへ向ける。
ユウはそれに気付いて、答えた。
「……なんでもないよ」
「も~吃驚したよ~! ユウったら昨日、倒れたんですよ! 蒼い顔をして、全然目を覚まさないから、ホントにホントに、心配したんだからっ!」
「俺なんか、目の前でバタン! だぜ! あのまま死んじまうのかと思ったよ!」
……この二人を連れて来たのは失敗だったかも、とユウは思った。
ハジメは、さっきまでの楽しそうな表情ではなく、真面目な顔をした。
「どこか、悪いのか?」
「そういう訳じゃないから……心配しないで」
ユウが答えると、ハジメは少し俯いて、目を閉じる。
「心配、か……」
ユウはリーダーからの招集を受け、ハジメの部屋を後にする。
ゴードンとレイカを廊下に残し、二人には別の者が監視に付いて、ユウだけ執務室へ入って行った。
「何か聞き出せたか?」
「いや、全然……。ゴードンとレイカが……」
気まずい雰囲気が漂う。
……と思ったら、リーダーが舌を出して戯けるようにして言った。
「な~んてな。全部モニターで見てたぜ。当然だろ」
人が悪い……と、親衛隊は苦笑する。
「呼んだのは、これだ。今、お前用の制御装置プロトタイプを作らせている。……作れるか、どうかは判らんが」
そう言いながら、ユウに図面を見せた。
「僕用の、制御装置?」
「お前、能力値がバカ高ぇから、普通に作ったんじゃ効かねぇんだよ。希少な資材が沢山必要になる。そういう意味で、すぐ作れるかどうかは、判らん」
ユウは図面をゆっくり見てから、リーダーを見上げた。
じっとみつめるユウに、リーダーは視線を外して、冷めた眼をして言う。
「……お前を失う訳には、いかないんだよ」
ユウは無言で微笑んだ。




