表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/89

第20話 レイカ能力発現

 ユウが自分の部屋へ戻ると、レイカとゴードンが待ち受けていた。


「ユウ、良かったね! お兄さん、生きていて!」


 開口一番、レイカが言った。

 ――ユウは、怪訝な顔をする。


「……どうして、知っているの?」


 ハジメの存在は、まだ極秘事項だ。

 発見当時の状況といい、記憶の欠如……そして、よりによって”ユウの兄”。

 懸念材料しかない。

 まだ地下施設の新入りとして、迎える訳にはいかなかった。


 するとレイカが椅子から立ち上がり、自信満々に胸を張って人差し指を立てて言った。


「ふっふっふ~、なんと! 私も!! ついに能力が、発現しました!」


「……なんの能力?」

「ふっふっふ~、聞いて驚くな~!」


 前置きが長い。


「ユウがどこにいても、ユウの声が聞こえる能力!」


 ――驚いた。

 そんな能力、聞いた事がない。

 何故、そんな個人に断定的なんだろう。


「なんか、この前からオカシイと思っていたのよね。ユウの声が聞こえるような……ぼそぼそっと」

「いつから?」


「数日前からかな~。ずっと聞き取れなかったんだけど、さっきユウが倒れた後から、はっきり聞こえるようになった」


 レイカは、人差し指と中指でブイサインを出した。

 そして顔を赤らめ、両手で頬を抑えて……うっとりとした表情をする。


「愛、かしら?」


「ぼ……僕の声、だけ?」

「そう! ユウの声だけ!」


「テレパシーとかじゃないの?」

「喋っている声だけ!」


「…………」


 何て変な能力だ。

 いや、それよりも”精鋭部隊”であるユウには、一般のレイカには知られてはいけない情報も沢山ある。

 既に知られているが、兄の事も、現状トップシークレット扱いだ。


 自信満々に自慢しているレイカと、レイカから兄の情報を聞いたゴードンを、ユウはリーダー執務室へ連行するしかなかった。



「…………」


 頭を抱えたのは、リーダーだ。


「なに、その、能力…………」

「愛です!!」


 頬を染めて、自信満々に答えるレイカ。

 困った顔をして、親衛隊の男性が言った。


「……最近ユウ、よく喋るようになったと思っていたんですが……」


 以前のユウなら無口だったので、問題はなかったかも知れないが。


「とりあえず……」


 軽いショックから立ち直るようにして、リーダーは命令をした。


「レイカ、その能力は使用禁止」

「ええっ、制御なんて出来ないですよぉ!!」


 リーダーは舌打ちをして、苦い顔を見せる。


「……なら、その能力で得た情報は、漏洩禁止。誰にも言うな。能力自体も、他言無用だ」

「えええええ~!」


「判っていると思うが、命令違反は厳罰。追放もしくは死罪だ。そこのクソガキ、お前もだ」

「……え? え、……俺??」


 ゴードンは完全に、とばっちりだった。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブックマーク、感想、評価、など。是非、皆様の声をお聞かせ下さい。
レビューを頂いたら、天にも昇るほど嬉しいです!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ