表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
側妃さまは憂鬱  作者: 充儀
殿下は来てくださいますか?
1/28

後宮よりも出家したい。

毎日が憂鬱。

屋敷の外を濡らす雨は朝から降り出して、一向に止む気配はなかった。

格子から越しから婉容(ワンロン)は外を眺めた。

綻びはじめた梅の花から滴る雨粒が艶めかしい。これを誰かと見つめていたら、きっと言葉にしているだろう。

しかし、この広い屋敷の自分の棟には人気はない。

夫の東平王(トンピン)、通称、三王(サンワン)は婉容を忘れていた。

最近、奶娘(うば)の姪、蘭怡(ランイ)を可愛がっているのだ。

婉容は側妃である。寵愛にしか縋ることしかできない女は三王のことを待つしかできなかった。

侍女の(チェン)が茶を運んできた。

それと同時に侍女頭がやって来た。

「側妃さま、今夜は殿下はお越しになりませんのでお休み下さい」

気まずそうに侍女頭は言った。

「毎日、そうだわ。このまま殿下がお越しにならなければ寺に入りたいわ」

「かようなこと…」

侍女頭は目線を落とす。貞は黙っていた。

「殿下が訪れたのは先月だけ。あとはみんな張蘭怡の元よ…側妃として愛されないのは側妃ではないわ」

そう婉容が言うと侍女頭は頭を下げて部屋を後にした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ