表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/11

漂う

溶けかけてシャバシャバになったかき氷を、どのタイミングで飲み干すか迷います。

………?薄暗くてフワフワする。嗚呼、俺は夜の海を彷徨うクラゲに生まれ変わったのか。もうちょいかっこいいのが良かったな。

ま、このままでも悪くはないか。気の向くままに旅してさ。

それにしても、何か酒臭い海だな。海の神様達が、酒盛りでもしてるのかも。あ、楽しそうな声もする。いいなー。

あっちがぼんやり明るい…あそこで神様の宴かな。どんなもんか、ちょいと覗いてみたいな。


「ヒャハハハハハ」「もっと呑むぞー!!ふはははは!!!」



…邪神……?



あー…天の神様、やっぱり別のに生まれ変わるの駄目ですか?シャコ貝あたりになって、静かで穏やかな生活を送りたいんですが。癒したっぷりのオーシャンライフ。

見つかりたくないです。巻き込まれたくないで…す…



「お!スエキチ、やっと目が覚めたか?」


うぅわ。神も仏も見捨てたっ。って、あれ?部屋?

「は?何言ってんだ。まだ夢見てんのか?また水かぶるか?」


水。


そうだ。あの時、変なジェットシャワーみたいなのにやられて…何か頭にものすごい衝撃が…

頭を触ると、処置したらしいテープの感触と共に、鈍い痛みが走った。


「あ〜、起きた?ごめんねー。痛かったでしょ?一応、細胞再生促進パット当ててるから、傷はすぐに良くなると思うよ。」


ハイ?あー、え〜と、此処は野郎ばっかの寮のはず。何で女性の声?しかも、管理人のおばちゃんとは全然違う若い女の子の声…っって、エエエエエ!?誰!!?

「あの〜、すみませんがどちら様でしょうか???」俺は、恐る恐る声の主の、えらく可愛らしい小柄な女性に尋ねた。

「ああ、スエキチ、こちらが俺達が探してた[アクア]ことヒロミさんだ。客人に失礼の無いようにな。」

「改めて、初めまして。ヒロミです。本当にごめんなさいねー、話は全部マウス…チューキチ君から聞いた。わざわざ心配してくれてたのに、そうとは知らず撃退しちゃって。」

「あ、いえ、こちらこそ。俺が勝手に入ったんだし…」

「しかし、あんなに簡単にのびちゃうとは思わなくって。軽〜くみねうちにしただけだったんだけど。」


嘘だっ!!思いっきり始末するつもりだった!!!絶対免許皆伝だ!!


「いや〜ハハハ、すみません。あんまり武道とかスポーツとは縁が無くって。」

「ふ〜ん。あー、ところでさぁ?」

「何ですか?」

「…その格好、そろそろ何とかならないかな?」

「へ?」


言われて己の姿を振り返る。装備品:パンツ一枚。


イヤァアアアアー!!!何だこれ!?俺、そんな趣味は無い…はずですぅ!!


「お前をここまで運びはしたが、さすがに着替えまではさせてやれなくてなー。濡れた服脱がすのも一苦労だったんだぞ。後は、自力で何とかしろ。」

「あーハイハイ…そりゃどうも。」

もう、あれこれ言い返す気力も無かった。


「何か、ちょっと寒気もするんで風呂行ってきます。」


掛け布団にくるまりながら、モソモソ移動する。もう格好悪いのもどうでも良くなった。とにかく、一人になって落ち着きたかった。


「さっさと行ってこい〜。こっちは、歓迎会続けてるからな♪早くしないと酒もつまみも無くなるぞ〜」

「いや、傷に響くから…酒いらねぇ…」

「ねえ、このPW可愛いねー。オヤツあげてもいいー?」

「(可愛い…?)ああ、はい。どうぞ。」


生返事を繰り返しながら、俺は風呂場へと逃げた。

何なんだよ…ふぅ。さっさと休もう。疲れとショックで頭が回らない。


結局、風呂から上がると宴会そっちのけで爆睡していた。邪神達?は、タフに呑み続けていたようだ。




 

コポコポ…プクン。コポコポコポ………

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ