一寸先は罠
ドラえもんの道具にあった、室内でも外でも泳げる水が欲しいです。
「…こちらマウス、こちらマウス。ラスト、聞こえるか?」
「ああ、嫌という程聞こえるぞ。真後ろから直に。ラストって何なんだ。」
「ちゃんと通信機使えよ〜気分が盛り上がらないだろ!末だから、コードネームはラストな。」
「勝手につけるな。しかし、本当に場所ここで合ってるのか?また適当に調べたんじゃないのかよ。」
「このマウス様を見くびってもらっちゃ、困るなぁ。これだから素人は。まあ、大船に乗ったつもりでいろ。」
「何が様だ。誰が巨大泥船になんぞ乗るか。とにかくこれで見当違いな場所だったら、大学中の笑われ者だぞ…」
草木も眠る丑三つ時、俺達はチューキチの探し当てた場所に居る…が、そこはうちの大学の敷地内だった。研究室や、サークルの物置がある所から少し離れた端っこの辺り。半分雑木林になってるんで、普段から人通りは少ないが、敷地内には違い無い。
「多分、この辺りだ。もうかなり近いぞ。…お!?これじゃないか?」
「これって…何でこんなもんがあるんだよ…?うちの大学何かやばい事してるのか??」
目の前に現れたのは、一見簡易テント。だが、明らかに頑丈そうな素材で出来てる。おまけに、放射能及びバイオハザードな奴はお断り!といったような表示がある。
「チューキチ、これシェルターテントだよなぁ…俺、ニュースでしか見た事無いぞ。」
「ああ。しかもこれ、最新のタイプだぞ。1番小さい型だけど、それでも軽く池のある庭付き一戸建て位はする。」
「いまいち解りづらい例えだが、とにかく馬鹿高いって事か。」
「ま、このままじっとしてても何だからな。じゃ〜んけ〜ん…」
「「ぽんっっ!!!」」
「よーし。ラスト、健闘を祈る!」
…くそっ。忘れてた。コイツにじゃんけんで勝てた事は無かった。
「不意打ちしやがって。きたねぇ!!」
「はぁ〜?何言ってんだよ。じゃんけんなんて、一番公平なもんだろ?まぁ、これが運の差って奴だ。恨むなら天を恨め。」
ふん。俺はお前みたいに、運の無駄遣いしないんだよ。
ゆっくり慎重に進む。外からは、明かりは確認出来ない。耳を澄ませてみても、物音一つ無い。留守なのか、それとも…
いや。とにかく、サッと確認してとっとと帰ろう。よく考えてみれば、こんなにコソコソする必要は無いんだよ。
「いや〜珍しいテントなんで、ちょっと気になって〜」とかなんとか、適当にごまかせばいいんだよ。うん。
極めて普通を装い、テントに近付く。インターホンは見当たらないので、入口の開閉ボタンらしき物を押してみる。プシューッという音を立て、扉が開いた。用心深いのか無用心なんだか…
「あの〜ごめんくださ〜い」
返事は無い。中を覗いてみると、更に扉が見える。この奥にいるのか?
「すみませーん…」
そ〜っと、中に入ってみる。
『ピーッ』プシューッ。
え?何今の。あれ!?扉閉まった!!
『洗浄を開始いたします』
え?何!?な
バシューッッッ!!
「ぶはっ!!?ぶババババババ!!」シュババーッ!!
「ふばばっ!!なっ!?なっ!!?」
え、何?洗浄?俺、汚物??息っ!息がっ!!
その時、慌てふためく俺の背後から声が聞こえた。
「天誅!!!」ガスッ!!
嗚呼…俺…この世から浄化されちゃうのかな…アハハ。