饅頭は武器です。
ミントの風味がするミネラルウォーターを飲みました。歯磨きの後の味でした。
…とりあえず、治水は成功した。「パール」と呼ばれる真珠に似た色形の餌を放り込むと、水は穏やかになり、オーロラのようにユラユラ光りだした。
「お〜ヨシヨシ。お腹いっぱいになったかマリン♪」
「チューキチ、貴様に発言権は無い。だいたい何だよマリンって。」
「えー?だってお前、ずっと名無しじゃ可哀相だろ。水、水って、そんな愛想も何も無い呼び方じゃ嫌われるぞ!?」
「(ぞ!?)って何だ!!?んな事言ったってなぁ、こいつは預かってるだけなんだから…嫌われるも何もあるか。」
そう。元々、このPWは同じサークルの友人に頼まれて預かっている。一応、半月程の予定…だったんだが。
「そうは言ってもだな、スエキチ。あいつが帰って来ると思うか?帰って来ないに、んまい棒二本かけてもいいぞ。」
「微妙にけち臭いな。ってか、不吉な事を言うな。」
問題はそこだ。PWを預けた奴はインドに旅行に行ったはいいが、もうかれこれ一月半経ったが帰る気配が無い。
最初は短い電話もあったが、ある日送られて来た
「ガンジス河のほとりでチャイ飲んでたら、占い師の爺さんに見込まれて修行する事になった。俺は第三の眼を開く。」
という、どう考えてもやばい手紙を最後に音沙汰が無い。しゃれにならん。
「今ごろきっと、元の飼い主様は開眼してインドの神様と語ってるよー。ねー、マリンちゃんぐぅうーっっ!!!」
俺は光の速さで、土産に買ってきたよもぎ饅頭を減らず口に叩きこんだ。神よ、我と饅頭に破邪の力を。