自由行動
最近、海辺に行って見付けた物。 海藻と同化したカツラ…
少し遅めの朝飯を食べ終え、腹が落ち着いたおかげかだいぶ頭も落ち着いてきた。久し振りの
「まったり」とした空気が心地よい。
「とりあえず、俺は午後からバイトだけど、お前どうする?」
チューキチから不意にそう言われ、少し返事に詰まった。
これといって予定も無いが、かと言ってここに二人っきりになるのは…困る。まあ、色々と。しかし、一人にするのも心配だ。ちょっと迷っていると、
「ああ、私なら大丈夫。防衛用の物いくつか持ってきたし。元々、それを取りに行く為にあそこにいたから。用事があるなら、行ってきなよ?」
客人(?)に気を使わせてしまった。こんな時だけ、チューキチの器用さが羨ましくなる。
「あ…じゃあ、サークルの奴に用事があるんでちょっと出掛けます。」
「あれ?お前バイトは?」
「今週は無い。こないだ店長が結婚して、今は新婚旅行中だと。」
だから、用事も金も無いんだよ。本当にタイミングが悪過ぎる。
「二人共、バイトしてるんだね。どんな仕事してるの?」
「俺は古本屋で、スエキチは居酒屋。こいつを使えばタダ酒が飲めますよ♪」
「ふざけんな、俺をクビにする気か。出入り禁止どころか警察に送り届けるぞ。」
「へー、両方面白そうだね。私、そういうのやった事無いからなあ。」
「バイトやった事無いんですか?あのシェルターといい、(何か浮世離れしてるし)まさかどっかの御令嬢とか…?」
気になって、単刀直入に聞いてしまった。
「別にそんなんじゃないよ〜。職種として、って意味でね。バイトはたまにしてるよ。」
「どんなバイトです?やっぱ研究関連とか?」
「まあね。研究所の手伝いとか、大学教授とかの論文のゴーストライターとか♪」
嗚呼、ごめんなさいごめんなさい俺の馬鹿。何かもう、世の中の暗黒部分を思いっきり見てしまった気分です…
一人暗闇に落ちている横で、チューキチは目を輝かせている。
「いや〜、凄いじゃないですか!面白そう。でもそれって危険な仕事じゃないです?」
「まあ、たまに小心者な人が変な動きを見せる事もあるけど、護身用の武術を身に付けているし。あと、色々と黙らせる材料はちゃんと確保するよ?ただ今回はちょっとてこずってるけどね。」
「なるほど。それであの強さ。納得しました!」
何も聞こえない聞こえない聞こえない…
「ん。もうぼちぼち準備するかな。おーい、スエキチ!戻ってこーい。」
「ん、ああ。」
しばし白昼夢を見ていたような。
「え…と、本当に出掛けても大丈夫ですか?」
「スエキチ君って心配性だね。大丈夫だって!二人が出ている間、少し仮眠取らせてもらうね。プロテクターシュラフ使えば安心だから。」
「プロテクター?ただの寝袋とはどう違うんですか?」
「敵の動きを察知して、スタンガン、催涙ガス、麻酔銃等の機能が働くの。あと、光学迷彩のスイッチを入れたら姿が見えなくなる。今朝もこれに入ってたんだけど、起きるまでわかんなかったでしょ?あ、二人はちゃんと登録してあるから攻撃しないよ。」
「ハハ…ありがとうございます。」
エジプトのミイラとかの呪いっぽいな。眠りを妨げると、二度と朝日を拝めなくなりそうなとことか…
不安は尽きないが、ひとまず各自単独行動する事になった。
帰ったら部屋無くなってたりしないだろうな。