クロウの世界授業~世界事情1ー2
遅くなってすみません。
クロウは少し顔を曇らせながら言った。
「では、英地を送る理由ができた出来事について語ろう。じゃが、この話は悪いが質問はなしにしてくれ。」
「わかった」
俺がそう答えると、クロウは語り始めた。
「では語るとするかのう。
コホン。
これは今から1500年前、神が直接世界に手を出すことが可能だった頃の話じゃ。【first world】では、まだ魔法は発達していなかった。否、なかった。だいたい魔法は神のみの扱える技だった。
しかし、ある神がミスをして地上へ落ちた時ことがあってのう。その時に、とある国の王にその落ちた神が助けられてな。それが、きっかけにその神と王は定期的に会うようになったんじゃ。ここまでは問題はなかったのじゃが……
その定期的に会うのを繰り返すうちに、王にも欲望が生まれてのう。ある時、王が神に
「最近、周りの国が煩くて戦争が続き民が苦しんでいる。どうか守る力を与えてくれないか。」
と、嘘をついて力を恵んで欲しいと、頼んだんじゃ……
普段なら神ならその者の欲望を見抜く力があるから嘘と気付けたのじゃが、実は神はその王に恋をしていてのう。安心しきって、見抜くことが出来ずに魔法という最強の力を与えてしまったのじゃよ。その後神はアースガルドに戻ったんじゃが、
なんと、その間に王は神が他の国にも魔法を広める事を恐れて国に民を魔法の訓練をさせ、魔法でその神を殺す事を計画したのじゃ。
そして、数ヵ月後。その神は再び国に降りて来た。神が地上に着地すると、神に攻撃が開始された。しかし、その神は強くてのう。多少傷をおおったが、無事アースガルドへ帰還した。
その神は深く悲しんだ。自分が恋をしてた男に裏切られたことと魔法を、与えたことに。じゃが、神はまだ希望を捨てなかった。
「自分が居なければ王はちゃんと力を使いこなせるのではないか」
と。じゃが、他の神達の意見は勿論違った。
「そんなことはあり得ない。実際にあの王はもう欲望に呑まれた愚王だ。魔法が広まる前に国ごと滅ぼすべきだ。」
そういった意見が多かった。そして、神達で話し合った結果。滅ぼすことが、決まった。
数日後、国を滅ぼす作戦は決行された。
作戦内容は、国の出入り口を破壊不可能の壁で固めて、天からの神のみにしか防げない魔法を大量に撃ち込む作戦じゃった。この作戦には逃げ場はなく、防ぐ事は不可能。完璧な作戦と思われた。
しかし、作戦は失敗した。
王に恋をし、魔法を与えた本人である神が国を守り抜いた。更に、自分の命を犠牲にして、国の壁を壊し、国いや、世界そのものに神が直接干渉することが出来ないようにした。
その神はのう。最期に自分が恋をした王が偉大で優しい王になること願って王に、笑顔を向けて死んだ。
しかし、願いは叶うことはなく。王は変わらず世界を支配しようとし、仲間に裏切られ自害した。続いて王になった男が世界に魔法を広めた。その結果、世界が対応して魔獣が大量発生した。そして、滅び行く今に至るのじゃ」
クロウは語り終えると、悲しげに話をまとめた。
「これが、お主を【first world】に送る理由となった。悲劇じゃよ……」
次回は2度目のアリスの授業です。