表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

夜の徘徊

作者: リリィ

 夜が来た。おもわず体がうずいてしまう。体がうずくといっても変な意味じゃない。夜にはこう、なにかテンションがあがるような、アダルティーで大人な雰囲気がある。夜。連想するのは酒、女、シンとした雰囲気。うん、なかなかにそれらしいものたちだ。しかし、そこに最近ラーメン屋が加わった。

 ラーメン屋。確かに夜に行ってもまったくおかしくはないが、若干おっさんくさい場所だ。そんなところがアダルティーな雰囲気から連想されるようになったのにはわけがある。

 あの日、オレはいつもどおりゲームをしていた。ゲームといっても一般人には理解してもらえない類のものだ。そう、ギャルゲーだ。そこではあまり外出しない俺にとってさえも魅力的な夜の世界が描かれていた。夜の街、知り合う人々、だんだん仲良くなるみんな、楽しい遊び、何者にも変えがたい至福感。

 今までほとんど現実では外での遊びに興味がなかった。しかし、20歳になるかならないかというこの年齢でようやく外での遊びに興味が出てきた。・・・ギャルゲーのおかげで。

 現実でも実際にその空気に触れてみたかった。あの楽しそうな空気に、どうしても。だから実際に外に出てみた。深夜2時前、夜も十分深い。オレはとてつもなく楽しい気分に浸れた。まさか散歩するだけでこんなに楽しいなんてな、そんな感想を抱いた。しかしただ散歩するだけというのはだんだん退屈になってきた。なにかないものか、そうして考えをめぐらすと、そういえばこんな時間でも営業しているラーメン屋が近くにあったと思い出した。小腹もすいてきたしちょうどいいか、そんな考えで行ってみることにした。そこのラーメン屋は別段なんの特徴もないただのラーメン屋だ。だってチェーン店だし。しかしこの時間に来てみると普段とはなんだかまったく違うアダルティーな雰囲気を放っていた。あれだ、夜の学校にいくとぜんぜん違う印象を受けるようなもんだ。あれはとても怖い。中に入ると人がほとんどいない。まあこの住宅街しかないところのラーメン屋にこの時間帯に来る人なんてそんないないか。そして静かに適当な席に座る。オレは味噌ラーメンを注文してぼんやりと周りを見回した。楽しいな。不意にそんな感情がわいてきた。とくに何かをしているわけでもないのに。おれは昔から目的もなくだらだらするのが嫌いだった。しかし今ではそんなだらだらを楽しんでいる。これを堕落というのかもしれないがそれはそれでいいんじゃないか。そんな風に思う。

 さて、オレの話は大体これで終わりだ。え?まったく面白くなかったって?俺は面白い話だなんて一言も言ってない。しかしまあなんだ、伝わらなかったか。そりゃ残念。もし君が一回でも行ってみてくれればとにかく楽しさだけは伝わるんじゃないかと思うんだけれど、どうかな?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ