異形の怪人
過剰な程までに豪奢な地下への階段をシロナとクロードは二人進んだ。
今日の賭争。
シロナの立てた作戦は、クロードが正面から敵に接近し、敵の目前に立つことで相手の心術による攻撃を完封するというもの。
掴みかかられない程度の距離を保って、クロードに敵の心術を打ち消してもらう。
敵が近距離型の場合なら、攻撃範囲が狭いはずなので、その攻撃は全てクロードにさせる。その隙にシロナが攻撃する。
敵がもしも遠距離型なら、発動前の隙を突いてクロードが敵に接近して、そのまま完封を狙う。
初めてクロードの行動に頼りきった作戦。だが、シロナにとっては、考え得る最高の手だった。
それはある種の賭け。クロードを敵に接近させるということは、それ即ちクロードが敵から物理的な攻撃を受ける恐れがあるということ。
もし、相手が屈強な大男で近寄ってきたクロードに殴りかかってきたとしたなら、恐らくその場でクロードは戦闘不能。
この戦術が有効に働けば、ほとんどクロード一人でも勝ちを拾えるが、もし最悪の事態が起こったとするならば、シロナ一人で敵を相手にしなければならない。
相手が殴りつけてきそうな、粗暴で屈強な男であった場合は即座に作戦を変更しなければならない。
もし、クロードの接近で決着がつかなければ……。
シロナは決死の攻撃に出て、相打ちになってでも敵を沈めるつもりでいた。
単純に二対一であるという事実を有効に活用すればいい。
もし私が倒れたとしても、敵と相打ちであるならクロードが残っているので、私たちの勝利だ。
そもそもが、圧倒的に有利な戦い。
大丈夫。
シロナは自分の胸に言い聞かせた。
そうして運命の賭争が始まる。
舞台に上がるのは青側の柱。
二人は促されるまま、舞台に登った。
正方形の闘技台の隅。
対となる柱。そのもう一方。赤い側には既に敵がいた。
異形の怪人。
ひょろりと腕だけ異様に長い奇妙で歪んだその体躯。口は深く裂け、歯は鋭く尖り、目には赤い目隠しをしている。その服は黒と赤と白の包帯のような布を、体中に巻きつけただけのような始末。
シロナはその姿を見ただけで、気持ち悪い。と思った。しかし、それこそが敵の目的。
シロナは事前に、敵が対戦相手をひるませる事を目的とした出で立ちで現れることは想定し、また覚悟していた。この程度ではひるまない。
クロードはそもそも敵の姿など、全く意に介していないよう。
文書が読みあげられて、戦闘が始まる。
――と、同時。
クロードが敵の前へと躍り出た。シロナもクロードの後ろについて前に出る。
対応するかのように、全身の布をクロードへと飛ばす怪人。
作戦通り。
うねり動くその布はクロードへと絡みつく前に、彼の周囲の黒い空間へと呑まれて地にはらはらと落ちてゆく。
不可思議な力を危険と判断したのか、怪人は後方へと跳び退った。
クロードはなおも前に出る。怪人は後ろに下がる。
そして、クロードは拳を――振り上げた。
ただ、上へと。
黒い塊が広がる。支配域が増大する。
突然のことに、さらに警戒を強めて後ろに引く怪人。
怪人の、そのすぐ後ろには既に金網がある。もうこれ以上クロードから距離を取ることは出来ない。完全にシロナの手のひらの上での出来事。
想定通り。
シロナは、流れを掌握したと確信した。そして、自らも前へと進み出て大剣を作り出し、その大剣を左から怪人へと薙いだ。当然、シロナの目の前にはクロードがいる。
大剣はクロードの黒い塊に触れた個所が消滅してしまう。
だがそれもシロナの思惑の内。
これは怪人が逃げた瞬間に迎撃するための先置き攻撃。
この怪人は正体不明のクロードとの接触を極力避けるように行動している。
壁際に追い詰められた怪人は、クロードの直進を受けて、左右どちらかに逃げるはず。
その判断を制限する。
全力を込めない攻撃でクロードの黒い塊によって大剣の一部が消えることをも気にせずに、敵に攻撃を見せる為の攻撃。そしてすぐさま全力で、返す刀で右から薙ぐ。
シロナの最初の一撃を見た敵は、残された右に回避するはず。
――そこに、必殺の一撃を叩きこむ。それがシロナの策だった。シロナの必勝の策だった。
迫る大剣とクロードを見て、怪人は反射的に跳んだ。
並みの人間であるなら、クロードから逃れる為に左右のどちらかに逃げる。
並より強い人間なら、シロナの大剣に気づき、その逆側へと反射的に跳ぶ。
――だが、並より強い人間よりも、遥かに場数を越えてきた、異形の怪人が出した答えはまた違った。
『上空』
それこそが、異形の怪人の出した答え。
ただ――上への跳躍。
そもそも上に跳ぶと言う選択肢を、そもそも持っている人間は少ない。
怪人が並外れた跳躍力の持ち主であるがゆえの選択肢。
だがもしも、怪人が並みより高く跳べる人間でしかなかったなら、彼は反射的に迫る大剣の反対方向へと跳んだことだろう。その方が隙が少ないのだから当然だ。
けれど、怪人は迫る大剣を見た一瞬、その瞬間に考えた。
この攻撃は行動を制限するための攻撃。
選択肢を縛って、本能的に驚異から逃げる方向へ誘導するための策。
ならば、自分は上に逃げる。
敵の意の隙をつくことこそが、戦闘の極意――
相手に不安を抱かせることこそが、勝利への一番の近道。
――これ即ち最善策。相手の動揺を誘い、悠然と二人の行動を観察して黒い男の特性を見極めるのがいい。そう考えての行動だった。
飛び上がって、怪人は両腕を大きく広げて金網にへばりついた。
――凄まじい思考の瞬発力。
シロナが左から薙いだ大剣は空を斬り、返す刀で右から薙いだ攻撃も空しくクロードに触れて消えた。
怪人は全身に巻きついた細長い布を伸ばして、上方の金網に絡め、上へ上へと移動して行く。
シロナは想定外の出来事に困惑していた。
だが、その事実を顔に出さぬように、怪人の行動を見つめる。
策が抜けられた。それも――実にあっさりと。上へ逃げるという想定外。
けれど、それは前向きに捉えるべきだと思いなおした。戦いの場を、金網の舞台を立体的に使うという怪人の特性。それを把握出来ただけで十分。
怪人は上へ上へと昇った。
そして、金網の上方で自身の身体を宙空に絡みつけた。
これは勝負を振り出しに戻したに過ぎない。怪人はクロードに攻撃する手段を持たない。
危険と判断し、様子見に徹している。
シロナは決断した。
ここで、攻め込む。
この距離なら、届く。
私が倒れたとしても、クロードが倒れなければ――
二人一組一心同体と認識されるのだから、私たちの負けにはならない。
だったら、ここは全力で攻め込むのみ。
もし、私が単体性能で勝るのならば、それでよし。
そうでなくとも最悪の事態は避けられる。
シロナは全力で斬りかかった。
しかし、怪人の取った戦法は、またシロナの予想を裏切るものだった。怪人は、その場からさらに上へと退避した。遥か高く、天井の金網へと。
天井の金網までは13m。
対して、シロナの通常時の大剣の長さは5m。この高さでは届かない。
当然の如くクロードにも手は出せない。
異形の怪人は包帯のような布を金網に絡めることで自らの身体を宙に浮かせている。
分類するとするなら、近距離型。
しかも、包帯を触媒として使い攻撃の間合いを伸ばしているようだ。
シロナの心術性能を知らない者が考えるとするなら、シロナはここから打てる手がないと考えることだろう。
――膠着状態。
この状況を作って怪人は何をしたかった?
シロナは思考を巡らせる。私の攻撃性能を知りたかった? それもあるかも知れないが、たぶん、それは本来の意図ではない。
怪人は、クロードを恐れている。
攻撃が全く効かない未知の相手。どう戦えばいいのか皆目見当もつかない未知のクロードを警戒している。それが第一のはず。
そして私の心術。付加された能力があるのか、あるとすればなんなのか。
勝つために必要な情報が不足しすぎている。と、判断した上で、異形の怪人は様子見に徹しているはず。
現在の戦闘で私は大剣の大きさを変えてはいない。
現状では、私の攻撃範囲を誤認しているはず。私に攻撃手段がないかもしれないと暫定的に判断しているはず。
だとするなら、異形の怪人は様子見を続けるはず。
事実、黒い塊の男は金網の下から動かない。
シロナは大剣を巨大化させてその勢いのままに斬りつける。
怪人は突如として迫る白刃を、器用に包帯を操って回避した。
シロナはこう思考した。
この均衡は怪人が意図して作ったもの。
クロードの事を観察するための行動。ならば怪人の心理は、後手後手に回った逃げの結果。だったら、ここで攻めきるべきだ。怪人に平常心を与えないように。クロードの恐怖をより大きく植え付けるために。
けれど、異形の怪人は器用に包帯を操ってシロナの攻撃をするすると躱した。シロナは攻撃が当たらないことをみとめると剣を振るうのを止めた。考えを変え、地面に座って、余裕をもって休息する。
もはやこれは持久戦。怪人は、常に包帯で金網天井に張り付くという異常な体勢。
そもそも、維持するだけでも体力を消耗するはず。
――この考え方は、先の戦いを見ていなければ思いつかなかったな。
そう、先の戦いの二人に感謝した。
異形の怪人は動かないはず。
シロナはそう考えた。
だが、異形の怪人はまたしてもシロナの思考を裏切って、赤く垂れる包帯を下へと伸ばした。
その包帯が激しく揺れ動く。
それを攻撃かとシロナが身構える。大剣を作り出し、その包帯を切り捨てる。
いつ、なんどき、怪人の攻撃が降ってくるかもわからない恐怖。
その想像を絶するプレッシャーの中で、シロナは耐えていた。
そんな様子など、微塵も感じさせないように、悠々と余裕を持って対処しているように立ち振る舞う。
シロナにも解っていた。それこそが怪人の策。疑心暗鬼に陥らせ消耗させることこそが、怪人の作戦。
だが、ついついつられて反応してしまう。
怪人が垂らした包帯を小さく細かく動かすだけで、何らかの攻撃を想定してしまう。
怪人の攻撃手段が布なのだとしたら、こっそりその布をほどいて、金網を伝わせていないかとすら神経を払う。
徐々にしかし着実にシロナは消耗していた。
だが、それは怪人も同じはず。
怪人自身も確かに消耗している。徐々に息が乱れている。
金網の上方に絡みつき、常に敵の攻撃を避けられる体勢を維持し、クロードを常に警戒しなければならないという状況は、じっとりと、怪人の体力と精神力を削り取っているはずだ。
怪人の垂らす包帯に対してシロナも間を置き、隙をついて怪人を迎撃する。
大剣を限界まで巨大化させて、怪人をつき貫く。
――一定の『遅さ』を保って。
それは先の戦いで学んだ、怪人に自らの心術性能を誤認させるための策。
自身の心術拡大化に要する時間を本来のそれよりも長くかかると誤認させ油断の隙を突く。そのためには、もっと徹底的に演技を怪人に観察させなければならない。異形の怪人が完全に誤認するまで。
するすると避け、天井から布を垂らす怪人。その布を振り払いつつ、種を捲くシロナ。
水面下での戦い。
展開になんの変化もない勝負に焦れた観客がざわめき始める。
数時間の時が経過した。
シロナは近寄って来た布を大きく薙ぎ払う。
怪人はシロナの大剣に布を切られないように小器用に操る。
飛び跳ねる布。
その動きを追うように、シロナは大剣を振り上げる。
と、同時。
シロナは最速で大剣を巨大化。
怪人の隙をついて刺突を繰り出した。
不意の攻撃に動揺する怪人。
最高のタイミング。
怪人の移動速度ではこの攻撃は避けきれない。
シロナは勝利を意識した。
だがしかし、怪人は今までの動きからは想像すらできない圧倒的な速力でシロナの刺突を回避した。怪人もまた力を隠し持ってていた。
けれども、その速力を解放したということは怪人はそれほどまでに追い詰められていたということ。シロナは尚も追撃する。
心術の大剣を地面に刺して巨大化させることで、自らの体を宙へと浮き上がらせる。
異形の怪人は瞬時にこれを好機と判断して迎撃する。
何故ならば敵の心術は地面にしっかりと刺さっているのだ。
矛を持たない敵など相手にはならない。解除する暇はない。そう判断しての攻撃だ。
シロナは中空で自らの心術を一旦消して、また新しい大剣を創り直すことで迎撃の布を切り落とした。敵の媒体を短くすることに成功した。布は宙を舞って壁際天井に引っかかる。
シロナは勢いをそのままに怪人へと斬りかかった。
意外の攻撃に、怪人は布を壁へと飛ばして自らの体を手繰り寄せるように回避する。
怪人にとってはシロナの心術の解除速度こそが想定外。
――心術は解除するにも時間がかかる。
にも係わらず、シロナは中空で一瞬の内に解除した。
それは目に見えている以上に手数を増やせるということ。もしも、攻撃の瞬間に術を消し再度攻撃が出来るとするなら、その手数は今の倍以上となるはず。
怪人は推論し、より警戒を強めねばと、シロナを睨む。
この怪人の推論は半分は正解で半分は間違っていた。
シロナの心術解除の速さはごく一般的な範疇。普通の心術使いよりは少し速いかもと言った程度。ただ、心術の解除速度は籠められている心の力――思いの力に比例する。
多くの力の籠った心術を繰り出すと、相手に心術を破壊されにくくなる上に、破壊力も増す。けれど、破壊されたときのリスクは大きくなるし、その解除にも時間がかかる。
普通の心術使いは自らの術を小出しにしない。
全身全霊の一撃を持って叩き伏せるほうが未知の敵と戦う上で効果的だからだ。
弱い術を発動すれば敵に痛手を与えることなく掻き消されて、こちらが消耗するのは必至。
単純に全力で心の力の総量が勝っているほうが勝つという、いたってシンプルな戦いに持ちこむ。それが、多くの賭争者の選択する戦術。それゆえに、心術使いは術の解除を行わない。全力の術を解除するには隙が大きすぎる。
だが、今回シロナが放った心術は違った。それは敵を昏倒させることが目的ではない。
自らが移動するためだけの術。
質量を移動させるために、普段とは違った力の込め方となるように工夫した術。
発動も解除も攻撃の為の心術よりも圧倒的に速く済む。
この攻防はシロナ有利の攻防となっただろう。
事実、異形の怪人は自らの媒介である包帯を一部、斬り落とされた。
舞台の金網に白い布が垂れ下がっている。これで怪人の攻撃範囲は狭まるはず。
けれど、同時にシロナは決め手と成り得る策を二つ無くしていた。
シロナの攻撃を回避した怪人も壁に張り付いたまま動かない。
この瞬間、シロナと怪人の思考が一致した。
相手はまだ、何かを隠しているかもしれない。
自ら動くには危険が高すぎる。
二人の賭争者はより警戒を高めて様子見に徹する。
シロナの額にじっとりとした汗が流れ落ちた。
それからまた、数時間の時が経過した。もう観客はほどんどいなくなっていた。
そこで戦いに変化を与えたのはシロナだった。金網際を堂々と歩いて、動かない黒い塊の元へと向かう。気づいたクロードもシロナの方へと向かった。
その動きを見た怪人は凄まじい速さで縦横無尽に跳び回り、シロナの背後を取る。
シロナは怪人の動きに対応し、己の背を金網に預けた。
正面からの攻撃ならば、捉えられる。そう判断しての行動。
攻撃を受けるシロナの元へとクロードが駆け寄る。
異形の怪人は包帯をジグザグに伸ばして、金網を蹴り、舞台中央上空の天井の金網にまで跳んだ。
そしてシロナの正面から己の操る包帯を真っ直ぐに伸ばした。
けれど、距離が足りない。
僅かに届かない。
限界まで後退し金網に身を預けたシロナの元までは、その包帯は届かない。
シロナは判断する。
――これは斬り落とされて短くなった包帯による誤算。
好機。
シロナはその包帯を、右手に作り出した大剣を大きく伸ばして細かく斬り刻んだ。
包帯は散り散りになって舞い落ちる。
しかし、それこそが怪人の策。
怪人は散り散りに舞う布片を心術でつなぎあわせて回避不能の結界を成した。今までの連なった包帯――長さに制限のあるでは媒質ありえなかった、怪人の同時多角攻撃。
シロナの前方を花弁のような心術が包む。
シロナは正面から迫る心術をその手の大剣で間断なく撃ち払う。
同時に迫るように思える布片にもわずかに速さの差がある。
近づいてくる布片を片っ端から撃ち払う。
回避の為に自らの体を金網にぶつけながらも必死になって撃ち払う。
シロナは自らの心術を小回りの効くように小さく変化させ、迫る布片を全て切り落とす。
――現状は不利ではない。
この攻撃を凌ぎきったなら、この怪人も遥かに消耗することだろう。敵の術は徐々に消滅している。徐々に徐々に宙を舞う布の数は目減りしている。
汗が滲み、腕が震える。
限界を越えてもなお、腕を振るう。
そして――
――全ての布が地に落ちた。
媒介を散らし、金網にしがみつく腕力もなくし怪人は天井から落ちた。
だが、その落下の最中。怪人は熟れ割れた柘榴のように赤々とした大きな口をニィ、と開いて嗤った。
シロナは怪人を見据える。大剣を振りかぶり、怪人に斬りかかった。
その腕を背後から迫る、包帯の解れた糸が縛りあげた。
「――えっ」
意外の攻撃に驚くシロナ。
それは先の戦闘でシロナが飛び上がり、中空で斬り落とした包帯。
一度戦いの舞台から――完全に消えたはずの媒介。その布は、シロナの背後の金網高くに引っ掛かったままになっていた。
怪人はシロナに金網を背に戦わせることで――
――シロナが金網にぶつかる衝撃で自らの媒介を戦いの舞台に舞い戻した。
金網で護られ、安全だと判断していた背後へと。
その布へと地に落ちた布を介して、術を伝えて切り口から糸をほどき自ら落下し対象との距離を詰め、渾身の力を込めた心術を発動。そのままシロナを気絶させた。
シロナの元へと駆け寄るクロード。
怪人はシロナを盾に金網へと逃げる。
そして、残り少ない布でクロードへと攻撃した。
けれど、その布はクロードに触れる前に地に落ちる。
消耗している怪人。息を切らせながら金網に張り付く。
その怪人の方へとクロードが迫る。クロードは怪人の下へと辿り着いた。すぐに赤と白の布に包まれたシロナをその両腕で抱きしめた。
そして怪人はゆっくりと崩れ落ちた。
その金網の天井から――ゆっくりと。
怪人は落ちるさなかに、限界を越えた代償として全身が崩壊へと軋むのを感じていた。
シロナへと放った渾身の心術。解除する暇もなくクロードに打ち消され、その反動が怪人を襲う。
呪うべきは己の不運。
彼の誤算は解析不能の敵の存在。
如何に素晴らしい観察眼を持っていようとも、如何に凄まじい思考の瞬発力を持ってようとも、対処不能の異例の別格。
彼を待つのは耐え難い絶望。
敗者に希望は存在しない。
いかがでしたでしょうか?
ご意見、ご感想、気になるところ、矛盾点、などがございましたら、是非教えて下さいませ。
よろしくお願いします。
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