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8話 Coffee and Cigarettes

後輩ズが両手に色々と持ちテーブルに戻って来るなり先輩が2人に向けて口を開いた。


「お前らって彼女居んのか?」


2人が手にビールやらアイスやらを抱えたまま固まっている。


「唐突すぎますって先輩」


タの方は怪訝そうに。ダの方は・・・このオッサン飲んでなかったよな?酔っても無いのに面倒くせぇー。とでも思ってそうな顔をしている。


「僕は彼女居ますよ」

「僕は。って、俺も居るわっ」

「なーんだ。お前らどっちも居んのか」


そうなのか。そういう話をした事無かったから知らなかったけど・・・って、もしかして、いや、もしかしなくても彼女居ないのって俺だけか・・・。


「彼女持ちを毎週末連れ出して申し訳ない」

「僕のところは今更って感じなんで大丈夫です」

「どういう事?」

「付き合いも長いので今更そういうのでどうこうは無いです」

「へー」

「幼馴染カップルなんですよ。コイツのトコ」

「へー!!」


幼馴染の女の子なんて都市伝説じゃなかったのか・・・。


「都市伝説じゃないですよ?」

「心の声が読まれたっ!」

「心の声ってか全部顔に出てますよ」

「マジかっ」

「カナタもだけどダも全部顔に出てんぞ」

「「マジすか!」」


どうやら色々と似た者同士らしい。


「似てる部分もあっけど、カナタには居ないからなぁ」

「なっ・・・」


そんな分かりやすいのか・・・って、居なかったら何か問題でもあるのかよっ・・・。


「まぁ、どっちも気になるけど・・・」

「はい」

「時間がそろそろヤバいな」


喋り過ぎたのか食べ放題の終了時間が近づいていた。


「微妙に残ってるの全部片せー」


と、先輩に急かされながら皿をキレイにして残り時間ギリギリで会計へと向かった。



「「「「ごちそうさまでしたー」」」」

「はーい」


会計を済ませ、駐車場の喫煙スペースで灰皿を囲みながら至福の雑談タイムだ。


「ひっさびさに良い肉食べましたよ」

「食べ放題で良い肉って普段どんな肉食ってんだよ・・・っても、お前ら全員外食メインっぽいよな」

「俺はそうですね」

「僕も外食が多いです」


と、後輩ズは外食のようだ。


「俺はその時の彼女次第ですかね?」


うわー、嫌なヤツが居る。俺の同期は嫌なヤツです。


「カナタは?」

「外食ってか・・・スーパーの半額弁当がメインですねぇ」

「しっかりしてんのか・・・それとも侘しいのか・・・判断に苦しむな」


放っといてくれ・・・。


「まぁ、先輩は奥さんのご飯があって良いですよね」

「んー?あー、まぁ、なー」


どうも歯切れが悪い。


「さてっ・・・」


と、先輩は灰皿にタバコを押し付けた。


「こっからどうする?」

「俺はもう帰ります。先輩は?」

「俺も帰る」


いや、帰るんかい。2次会に誘う流れかと思った。


「タダは?」

「何もないなら帰ります」

「僕も」

「それじゃ~、2人共飲みに行くかー」


と、タカナシが後ろから後輩ズ2人に肩を組んだ。


因みにタカナシは酔っている。

この焼き肉で飲んでいたのは結局タカナシだけだったので足が出た分は割り勘では無くタカナシが全被りしていた。


全員飲めない訳では無いが先輩は車を出してくれて全員の送り迎えを買って出てくれたので必然的に飲めなかったし、そんな先輩の前で飲める程後輩ズの肝は据わっていない。


「どうする?」


先輩からの助け舟だ。


「奢りですか?」


と、流石の図太さを見せる濁ってる方。


「いや・・・今日は完全にタダ飯のつもりだったんで財布持って来てないんですよ」

「だったら帰りはどーすんだよ?」

「定期があるんで大丈夫です」


本当に財布を持たずに来たようだった。



結果、タカナシが後輩の2人を飲みに連れて行く事になり。俺は先輩と2人きりで送って貰う事となり、助手席へと乗り込んだ。


「それじゃあ、お願いします」

「おう」

「先輩はその後は家に直行ですか?」

「だなぁ」

「やっぱ良いもんですか?帰りを待ってる人が居るっていうのは」

「あー・・・まぁ、良いもんじゃねぇかな」

「ん?なんか歯切れ悪いですね。奥さんと何かありました?ははは」

「あー、まぁ、色々とな」

「え?マジっすか」


えー・・・夫婦仲良好なんじゃなかったのかよ・・・。もしかしてどえらい地雷踏んじまったのか・・・?


「はぁ・・・」


先輩は大きく溜め息を吐き、車をコンビニの駐車場へと入れた。


「ちょい飲み物買って来る。何が良い?」

「あ、俺が行きますよ」

「いいから。何にする?」


地雷を踏んだのはお前なんだから覚悟を決めろ。とでも言わんばかりの圧を感じる・・・。


「じゃ、じゃあ、コーヒー。ブラックで・・・」

「ok」



藪をつついて何とやら・・・口は災いの元だなぁ・・・と実感しながら腹を括ったつもりで居たが・・・車に乗り込んで来た先輩の手にあった1リットル入りのコーヒーと紙コップを見てかなり長くなる事を悟り括ったと思った腹は全然括り足りて居なかったと気付いた。


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