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2話 気分上々↑↑

「へあっ?」


と、某3分間戦えるヒーローの様な声が出た。


それもそのはず。

クローゼットの中のドアを開けるとそこには何も無いと思っていたが・・・今回、借りた部屋よりも広い謎の石畳の部屋がそこにはあった。


物理的におかしい・・・あぁ、そうか。

トリックアート的な絵が壁に描いてあって錯覚させられているのか。


そう思い、手を伸ばしたが・・・伸ばした手は無情にも壁に当たらなかった。



しばらく手を伸ばしたままフリーズしていたが・・・ふと我に返った。


「全然、荷解き進んでないじゃん」


まぁ、現実逃避だ。


謎の部屋は見なかった事にしてそっとドアを閉じ。ダンボールから物を取り出しては「これはまだ良いか」と、また戻す無駄な時間をしばらく過ごした。




「そうだ!」


トイレットペーパーやら買いに行かないとだ。


ついでに大家さんの所に挨拶に行っても良いかもしれない。

謎のドアの事も聞きたいし・・・。


スーパーやドラッグストアを回り足りない物を買い揃えてから牛丼チェーン店で遅めの昼食を済ませた。


因みに・・・午前10時から引っ越しを開始して昼食休憩を挟んで15時くらいに終わる想定をしていたが、荷物が少なかった事が功を奏して昼食休憩無しの13時に引っ越し作業が完了した。

俺としてはそのままお礼の焼き肉に行きたいと言ったのだが車で飲めないからと拒否されてしまった・・・全員から。

これはきっと会社帰りにサクっと済ませたりするのでは許して貰えなさそうだ。


大家さんのおばあちゃんの家に行き、引っ越しが完了した旨を伝え。あのドアの正体が何なのか大家さんから言い出すだろうと思っていたが一向にそんな話が出ないまま帰される事になりそうな流れだった・・・。


「また夕飯でも食べにいらっしゃいな」

「庭の雑草抜きとかとセットでですかっ?」

「それも良いわね。ふふふ」


真夏の真っ昼間に半裸で熱中症になりかけながらの草むしりは地獄っ・・・。

若いから出来たのであって、今やったらきっと死ぬ。


「そんなのは良いからたまには顔見せなさいな」

「あ、良いんですか?」

「良いわよ。そんなの植木屋さんに頼めば直ぐなんだし」

「あ、そうなんですね・・・」

「お昼には遅いけど。なにか作る?」

「あー、さっき食べて来たんですよ」

「そうなのね。お夕飯にはちょっと早いわよね」

「そうですねぇ」

「また食べにいらっしゃい」

「はい。ありがとうございます」


うーん・・・大家さんから言い出してくれるかと思ったけど・・・。


「あの」

「うん?」

「クローゼットっ」

「うん」

「えっと・・・前の部屋のより広くて良いですね」

「そうなの?良かったわね」

「あ、はい」


あれ?大家さんも知らない感じ?


「最近はもう全部人に任せっきりでどんな人が住んでるのかも知らないのよね」

「あー、そうなんですね」

「自分でやるより任せちゃった方が儲かるのよねっ」


と、厭らしい笑みと共に手でお金のポーズを取った。


「やめなさいっ」


見た目は上品なのに大家さんはこういう所がある・・・。


「お金は大事よ?」

「そりゃそうですけどっ」

「面白そうな儲け話があったら私も誘ってね」

「そんなのあったら毎日汗水垂らして必死に働いてないですよぉ」

「そのおかげで生活出来てるんだから感謝なさい」

「ですねぇ」

「で、荷解きの進捗はどうなの?」

「あー・・・もうちょいですね・・・」

「明日も仕事でしょ?」

「ですねぇ」

「寝床だけはちゃんとしときなさい」

「はい」


寝床だけ?


「あなたは食い意地張ってるから放っといても何かしら食べるでしょうけど」

「あー・・・はい・・・」

「遊び呆けて、寝ずに仕事に行ったり出来るのは若いウチだけよ?」

「いや、もうそんな若くないですよ・・・」


確かに大学の時は寝ずにゲームしてそのまま学校行ってバイトして帰ってまたゲームみたいな生活してたけども・・・。


「あなたはそうやって・・・」

「あー・・・ベッドとか家具系は暗くなる前にやらないと騒音問題にもなるんでそろそろっ」

「そうね」

「はいっ」

「落ち着いたら1回顔出しなさい」

「はいっ」


お説教モードに入りそうだったので速やかに逃げ帰って来た。


荷物を車から下ろしながら溜め息が漏れた。


「ふぅ・・・これは往復した方が良いか・・・」


引っ越しでテンションが上がっていたのか調子に乗って色々と買い過ぎた。

スーパーで冷凍食品やレトルト食品を筆頭に色々と・・・。


食品関係を冷蔵庫に適当に突っ込み。雑貨も適当に袋から取り出していく。


「良く考えたらスマホで良かったか・・・」



クローゼットの中の謎の石畳の部屋を調べる為に買った懐中電灯を取り出しながらそう呟いた。

それと同時に謎の部屋の調査を楽しみにしていてテンションが上がっていた事にもここでようやく気が付いた。


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