17話 それがわからんのです
タダを送り出し大人組3人は再び床に腰を下ろした。
「俺らはどーする?」
「とりあえず食べません?」
「まぁ、そうだな」
「なぁ、カナタ」
「ん?」
「ビールとか無い?」
「は?お前、昼間っから飲む気かよ」
「だって、チキンとかナゲットとかポテトとか揚げ物ばっかで飲んで下さいって言ってる様なもんじゃない?」
「それ頼んだの全部お前だけどなっ」
「だからこそ俺が始末しないとってのもあるんじゃない?」
「無理してまで食って貰わなくても良いけどな」
「それにさ?」
「うん?」
「やっぱ食べるなら美味しく食べるのが義務じゃない?」
「まぁ、それはそうだけど?」
「だからやっぱビール要るくない?」
「どういう理屈だよっ」
「分かった」
「分かれば良い」
お前が1番金掛かってるんだから・・・せめてその分は働け。
「ハイボールかレモンサワーでも良いよ」
「分かってなかった!」
「え?」
「カナタ諦めろ。タカナシはこういうヤツだ」
「いや、でもっ・・・はい・・・」
「それに、正直やること無いだろ?」
まぁ、何をやれば良いか全くアイディアは浮かんではいない。
「ぶっちゃけ無駄に人数多すぎた」
「だったら戦犯は先輩ですね」
「なんでだよ・・・って、勝手に誘ったのは俺か」
「だから、今日の出費は先輩に被って貰うのが道理じゃないですか?」
「ま、まぁ、そのウチな・・・」
「今、金に困ってないならカナタが被れば良いじゃん」
「なんでだよっ!」
「だって、これから儲かるんじゃない?」
「これから?何かあるっけ?」
「こんなのあればやりようさえ間違えなければいくらでも儲けられるでしょ」
と、通路の方を指さした。
俺には全く、その「やりよう」とやらが見えてこない。
「ど、どうやって?」
「さあ?」
「おいっ」
「でも、これの使い道さえ見つけられれば凄い事にはなりそうだよな」
「って言っても・・・賃貸ですよ・・・?」
「「あ・・・」」
「大事になれば大家さんに没収されて終了。って、なりそう」
「確かにな」
秘密基地+謎の通路の使い道。出来るならば金になる方法を考えなくてはいけない。但し、周りにバレないように。
「ハードル高くない?」
「俺は思いつかねーなー」
「タカナシは?」
「フッ」
「なんかネタあんのか?」
「全く浮かばない」
「お前っ」
「カナタ!」
「止めないで下さいっ」
「いや?全力でしばけっ」
「かしこまりっ」
「ちょっ、2人も浮かんでないんだから同罪じゃん」
「いや、なんか思わせぶりな感じがウザい」
「えー・・・」
ポキポキ───。
「お?」
「ほ、ほらっ!タからかも?」
「先輩?」
「うん、タから」
「なんて言ってます?」
「ちょい俺らも行くか」
「「え?」」
「あ、準備してからな?」
「何かあったんですか?」
「これ見てみろ」
先輩がスマホの画面を俺達に向ける。
「これって・・・」
「まぁ、あのゲームのイメージは流石にリアルじゃないよな」
「リアルだとこうなんですね」
「仲間になりたそうにしてても分からないですねー」
「で、どうします?」
「倒すかどうかは別として。調査の為に捕まえたいよな」
「ですねー」
「カナタ」
「はい」
「バケツとか風呂桶みたいのあるか?」
「え、無いですね」
「んー・・・じゃあ、ダンボールは?」
「ならありますよ」
「んじゃ、ゴム手袋は?」
「無いです」
「だろうな」
そう思うんだったら何で聞いた?と思ったが飲み込みダンボールの準備をして3人でタダの元へと向かった。
「ちょっと思ったんだけどさ」
「うん?」
「このランプって燃料があるとしたらガスとか灯油とかじゃない?」
「まぁ、そう・・・なのかな?」
「光熱費ってこれも込みなのかな?」
「え?これ有料なのっ?」
「さぁ?」
「光熱費が高いとか無かったか?」
「無いですね。たぶん」
「そうか」
「むしろエアコン使わなくて済んでるから安いです。めちゃくちゃ」
「めちゃくちゃ良いじゃん」
「だろ?」
そんな他愛もない話をしながら歩いていると。
「ここです!」
「お、居たな。結構歩いたんじゃね?」
手を上げて合図しているタの元へと駆け寄る。
「どれ?」
「これです」
「触ったりは?」
「一応してないです」
「動きは?」
「じわーっと動きますけどかなり遅いですね」
「そうか。んじゃ、カナタ、ダンボール」
先生はトイレじゃありません。みたいに俺はダンボールじゃありません。って言いたい。
「はい」
とはいえ、そんな事を言っても突っ込んでくれるのはダくらいだし。
そのダが居ないのに言った所でスベるだけだ。
「え?」
「ん?」
「ダは?」
そう。
何故かダが居ない。
「あぁ・・・アイツならヒマだとか言い出して先に進みました」
最近の若い子の行動が読めない。
タダが特殊なだけ?それとも俺がおっさんになっただけ?