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ショートショート3月~エッセイ特化編~

角質層がやけにとがって攻撃を仕掛けてくる…

作者: たかさば

 どうも、どうもどうも。


 冬場に使い捨てコンタクトを外すとき親指のささくれが白目に刺さって充血しがちなものです。


 本日は、人体の優れたシステム、角質の硬化にまつわる忌々しいあれこれを吐露させていただこうと思いますです。よろしければお付き合いくださいな。


 ええと、まずはじめに…角質層って言うのは、いわゆる皮膚の表側のことです。

 皮膚というのは四層から成り立っていて、外部からの刺激を跳ね除けたり貴重な体液を一滴ももらさぬよう踏ん張っていたりしておりましてですね。ここら辺の詳しい説明解説はいたしませんので、気になった場合は検索してみてくださいな。


 内側を守りつつ外側もガードする、人体が健やかに暮らすための防衛システムの要となる部分として名高い角質層なんですけど、わりとこう、頑張り屋さんで少々はりきりすぎる一面もございましてですね。


 いわゆる角化(刺激を受けると皮膚が硬くなる現象)というやつは、その代表的なものです。タコや魚の目なんかは、外敵に対抗せんとフルパワーで内側を守っていたらいつの間にか味方を気遣う余裕がなくなっていて攻撃をかましてしまっているような状況といいますかですね。なんていうか、若干ピュアで一途でやらかしがちなキャラクター像が浮かんでこないでもないんですけれども、それはまあ、おいといて。


 角質層って、わりと水分管理がへたくそな一面があるんですよね。不足したらかぴかぴになるし、超過すればぶよぶよとふやけるし。

 長湯で指先がしわしわになるのは自然乾燥で元に戻るものの、乾燥のほうはなかなか戻らないと言いますかですね。保湿クリームとか塗っても、すぐに乾いてあっという間に元通りなんですよ。どうせ戻るなら干からびる前の穏やかに満たされた状態に戻ってほしいのに、うまくいかないものです。

 長く乾燥状態が続くと、それがデフォルトになってしまう?ピチピチでキズ一つない瑞々しかったころの一番いい状態の皮膚に戻すシステムは組み込まれていないらしい…。ああ、なんだ、これが老化という事ですか、そうですか。なんという忌々しい……。


 しかもですよ、干からびた連中ってのは、あっという間に武器化するんですよね。

 体内組織がみずみずしい時代はわりかしささくれもしなやかなんですけど、衰えてくると水分補給システムによどみが出てくるのか、そもそも全体の水分量が減ってまずないがしろにしていい部分から節約が始まるのか、やけにこう硬く縮こまって…意固地になってしまいましてですね。

 若すぎるころは指のささくれが気になってなってひっぱったら、どんどん裂けていって傷が深くなり出血…なんてこともぼちぼちありましたが、大人になりきってずいぶんたった今ではささくれがぱっさぱさでしてね?裂けるようなしなやかさはないわ、やけに硬いわ、放置すればひび割れてくるわで…ホント手に負えん!!!


 私は指先の硬くなってしまった部分は、もっぱら先の丸い爪切り(通常のカーブを反転したようなやつ)で積極的にカットしております。

 やさぐれたささくれをほったらかしにしていると、鉄の爪よろしくふとした拍子に柔らかい部分を引っかいてしまい、思わぬ傷を残すことになってしまうこともありますのでね。年季の入った皮膚というのは、年月を重ねておらず修復力に富んでいたころとは違って…ちょっとした傷でも治りにくくなっておりますのでね。治らないことを嘆くのではなく、傷をつけぬよう備えることが重要なのです、ええ。


 角化した部分は指先だけではなく、足もあります。

 かかと、指の付け根のあたり、外くるぶしなんかは特にかさかさになったりガサガサになったりカピカピになったりごわごわになったりカチカチになったりしましてですね。

 指先とは違って角質層も厚い上に、加齢に伴いぎこちなさを増した身体関節の抵抗なんかもありまして、なかなかケアが難しいのが困りものです。


 都会には足の角質ケアサロンなんかがあるみたいなんですけど、私は絶妙に栄えてる雰囲気を漂わせているぼちぼち田舎に居住しているので、身近にないんですよ…。

 仕方がないので、自分で何とかするかと思い…いろいろと手出しをしてきましてですね。

 かかとガード靴下だのずるっと足の裏の皮がまる剥けになるやつだの足の裏オイルだのよく効く角質専用クリームだの本気でお医者さんが考えた角質対策ローションだの赤ちゃんの足の裏になれる本物の角質ジェルだの散財しまくりましてですね。


 どれもこれも満足できず、ふてくされていたときに…コーンカッターなるものを見つけましてね。

 これがまた、やけに気持ちよく手ごわい角質をこそげ落とすことができたんですよね。


 で、これはいいやと大喜びしましてですね。

 ついつい、やりすぎてしまいましてですね。


 気が付けば、角化した部分が、どんどんグレードアップしておりましてですね?!


 こんなに守りを堅くしたのに突破されてしまった…このレベルではこの身体を守り切る事ができないのだ。もっと強固に、もっと大きく、守りを固める必要が…ある!さあ、集え角質層の諸君!!今こそ集結し、更なる角化を推し進める時!!

 とか何とか、己の役目を全うすることにただただ実直である角質層の皆さんが思ったかどうかはわかりませんが。


 …あれだ、角化した部分をこそげ落とすということは、角質層に刺激を…角質層に攻撃を仕掛けてきた外敵と認識されるということなんですよ。

 体の持ち主が良かれと思ったことをしても、体そのものはそれを理解してはくれないのだということをですね?!


 なんていうか、人体っていろいろと神秘的だよね…と思いながら、今日も地道に硬くなった部分を取っている人がいるというお話でした、ハイ……。

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