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話し合うバグ

最終的に6人のメンバーが来た。

探幻堂の2人、統括、開発部の部門長、素材管理部の部門長、探索者管理部の部門長の計6人だ。

カクさんは入れ替わるように出ていった。


「では私が」


河内さんが代表するように言葉を発する。


「日曜日に久場さんが開示石の納品を行った後に探幻堂で買い物を行いました。その際、魔球と呼んでいるハートの結晶についての説明があり、魔物が使役されていることとダンジョン外での魔装具の生産を確認しました」


ミヤのことが議題みたいだ。

河内さんはホワイトボードに向かって何か書き始めた。


「まずは魔物の使役についてです。補足があればお願いします。久場さんは従魔の腕輪を購入後、収納の指輪と同様にスキルを解放させました」

「そうですね」

「その後、ダンジョンでドロップしたと思われるミミックの魔球を使い、ミミックを召喚、使役しました。そして、他に持っていた魔球を食べさせることで魔装具を生成出来ることを発見した」

「偶然ですけど、その通りです」

「今、そのミミック、ミヤちゃんを呼べますか」

「家にいるのでちょっと」


ミヤは家で作業をしてくれているはずだ。

能力の解放には時間がかかるみたいだがもう終わっているかもしれない。


「魔物を野放しにしているのか」

「呼び出せないのか」


店長さんと探索者管理部の部門長が同時に言ってきた。

野放しじゃなくて留守番なんだが。


「ちょっと、待ってくださいね。送還」


ミヤが従魔空間にいる感覚がある。

遠くにいても送還は出来るみたいだ。


「呼べたみたいです。召喚」

「がんばった〜、ごはん〜」

「待ってな」

「おぉ」


ミヤが机の上に現れる。


「ミヤちゃん、ご飯あげるよ」

「ありがと〜」


河内さんがハートの結晶を取り出し、ミヤに食べさせる。

ミヤが食べている間に河内さんが話を進める。


「このようにスキルによって使役している場合は友好的なようです。久場さんに説明すると、海外である事件が起きました」


魔物をダンジョンから出すと敵意が低くなるがダンジョン外で調教を行っているとある時、急に暴れだしたことがあったそうだ。

2週間程調教したがあまり懐かなかったらしい。


「このように友好的な例は初でしょう。意思疎通の能力がある魔装具を使えば魔物とのコンタクトもとれます」


全員が意思疎通の魔装具をつけているらしい。

さすが探協だ。


「あるじ〜、まそうぐってなに〜」

「ミヤが出してくれてる道具のことだよ」

「そうなんだ〜、まそうぐつくる〜?」

「ミヤちゃんお願い」

「は〜い」


河内さんの指示でスキルを使う。

知らない人にも使いそうで心配だな。

蓋が開き、木の棒が置かれていた。

河内さんが木の棒を取り出した。

取り出した木の棒は30cmくらいの大きさになる。


「このように魔装具が作られます。ご確認してください」


みんなが木の棒に触る。

俺も見ておく。


放水の杖

スキル:放水

-水生成

-


貯水の上位互換じゃないか。

貯水は保管してる状態で浄化出来るし、生成はいちいち浄化しないといけないはずだ。

住み分けが出来ていると信じたい。


「今後、未確認の魔装具が出回ることが想定されます。現在、久場さんが持っている魔装具でなくともスキルによる召喚によってこのようなことが可能になると考えられます」


ミヤのようなミミックを従魔にすれば魔装具を量産出来るだろう。

悪い考えをする人が使役してしまうと大変なことになるかもしれない。


「久場さん、これを召喚して貰えますか」


河内さんから黒いハートの結晶を渡される。


ハートの結晶

スキル:灰鼠の器[I]

-歯[I]


ブラックドックじゃないのか。

色は関係ないらしい。

言われるまま、召喚してみる。


「召喚」


ハートの結晶が手からなくなると机の上に50cm程のネズミが現れる。

カピバラよりもスマートな見た目だ。

5層くらいに多く生息している灰カピバラに見える。


「アンタが呼んだんか。よろしくな」

「よろしく」


頭を撫でてみる。

特に抵抗はないみたいだ。


レベル:1

スキル:歯[I]

-硬化

-威力強化


「この子は探幻で様子をみたいと思います。とりあえず、魔球で魔物を呼び出すと友好的な状態で呼び出されます。レベルは低いですが大量に召喚されると厄介です」

「河内さんの魔球で召喚したのでいいのですが従魔の腕輪みたいなやつは持ってるのですか」

「後で依頼させてください」


灰カピバラは河内さんが持っていくらしい。

よろしくとか言ったのにすぐにお別れになりそうだ。

魔物テロはそんなに起きることではないと思うが長期的にみれば可能性を考えないといけないのだろう。

ホワイトボードに『魔装具の生産』、『魔物の使役』と書かれた下に注意が書かれていく。


「確認ですけど、購入していない魔装具は何個くらいありますか」

「2つですね。見ますか」

「よろしくお願いします」


聖水の腕輪は移してしまったので購入していないのは魔合の指輪と強撃の雷鳴の弓の2つだけだ。

2つを机の上に出す。


「2つとも能力が解放されてるんですね」

「この弓は凄まじい」


2つの魔装具を見て色々なコメントが出ている。

朝からデバッグをかけていた魔合の指輪はこんな感じだ。


魔合の指輪

スキル:魔合

-魔力集約

-魔石生成

-魔石合成


魔石合成は魔石をまとめるような能力だと思う。

まとめていけばハートの結晶のように丸くなるのかもしれない。


「今はダンジョンから出る時に魔装具の確認をしていますがダンジョン外での魔装具をどう扱うかは考えないといけませんね」


この話は俺にも重要な話だが取り締まることは難しいんじゃないだろうか。

人工魔装具のような工場生産や工房での生産のように個々で管理するしかないだろう。


「量産出来たりしますか」

「出来ると思いますけど限界はありますね」

「定期的に作れるならミミック系の魔球を確実に回収するくらいしか対策出来ないですね。ミヤちゃん以降のミミックは探協側で管理しましょう」


ミヤが没収されることは回避されたらしい。

没収されるとなれば依頼を受けないとか言えば特例を認めてくれそうだが溝が出来なくてよかった。


「ミヤちゃんが作った魔装具は探幻堂に売ってくださいね」

「要らないのは売ります」


話し合いはこのくらいだろうか。

雑談が始まっている。

雑談というより意見交換だが俺たちはいらない気がする。

ミヤは送還しておこう。


「今日はこのくらいにして解散しようか」


統括の一声で解散となった。

ここにいるメンバーと連絡先を交換したが俺なんかと連絡先を交換していいのだろうか。

会社に戻らずに家に帰る。

あの人たちはあのまま会議をするような雰囲気だった。

偉い人達は大変なのだ。

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