バグの仕様
家に着き、短刀を取り出す。
無くしてなくて安心だ。
今日の収穫であるハートの結晶を取り出す。
買い戻しの値段は100円だった。
そしてデバッグしていたものが終わっていた。
強化の指輪
スキル:強化
-身体強化
-魔技強化
-能力強化
どれくらいの強化になっているかは分からないが少しは効果があるだろう。
身体強化は今の俺がブラックドッグの動きに反応出来るくらいには強化されていると思う。
とりあえず、次の魔装具のデバックを始めるとしよう。
成長の指輪に3並列でデバッグを始める。
短刀にはデバックをかけているが何週間かかるか分からないため、他の魔装具と同時にやっていく予定だ。
「高速走査」
今日は早めに切り上げた、いや、呼び出されたため、早めに家に着いている。
定時前に帰宅出来るとはこういうのもいいなと思うのだが常時デバックを使っているせいか、休めている気はしない。
2時間ほど行うが当然のように終わらなかった。
コンビニ弁当を食べ、風呂に入る。
「開示石の作成はいつからやるんだろう」
風呂からあがり、ベッドに横になる。
何となく、開示石に触れる。
レベル:1
スキル:デバッグ[V]
-バグ感知
-バグ走査
-バグ修正
-遠隔走査
-並列走査
-高速走査
-感知拡張
-走査強化
-実施走査
-短縮走査
能力が増えていた。
どの様な効果かは分からないがデバッグを早める能力なのだろう。
「高速走査、短縮走査」
特に変わった気はしないが早くなっていると祈っておこう。
明日こそ、レベルを上げたいがこのままダラダラとレベル上げせずにデバックする未来が想像出来る。
デバッグで依頼を受けるならレベル10にして覚醒させておきたい。
レベル上げの期間はまだ始まったばかりだしまだいいか。
時計を見る。
2度目のデバッグを始めて3時間、合計5時間か。
成長の指輪のデバックが終わった。
寝ている状態のデバッグがどれくらいで終わっているか分からないがある程度時間がかかっていると思う。
3並列にも関わらず、寝ている時よりも早いんじゃないだろうか。
新能力のおかげなのだろう。
寝落ちしてしまっていたので短縮走査は任意使用の能力なのだろう。
まずは能力の確認を行おう。
成長の指輪
スキル:成長
-魔素吸収
-吸収範囲拡大
-習熟度上昇
-効率化
レベルとスキルレベルについての成長なのだと思っているのだがどうなのだろう。
『魔』というものが付くのは魔物関係くらいなのだが魔素というのは経験値のようなものだと思っていいのだろうか。
何となく、当たっている気はするし、期待しておこう。
次はどれにしよう。
ハートの結晶のことを考えると従魔の腕輪の方がいいのだろうがレベル上げよりも能力強化をした方がいい気もする。
空の指輪を手に取る。
空に関わる複数のスキルが取れるかもしれない。
「デバッグ」
もう、終わったのか。
どういうことなのか。
空の指輪
スキル:空の器
-
-
-
-
-
変わった気がしない。
ソラの指輪ではなく、カラの指輪ということなのだろうか。
デバッグ出来る気配はなくなっているが何が変わったのか。
結局どうすればいいのだろう。
合成の指輪をデバッグすれば何かわかるかもしれないが不要な魔装具がないので保留するしかない。
とりあえず、収納の指輪をやっておこう。
収納の指輪はそのままデバッグが始まった。
「高速走査、短縮走査」
起きた時には終わっているだろう。
ピーピーピー
心臓が強く鼓動する。
「遅刻っ」
3度目のアラーム音で目が覚める。
アラーム音で飛び起きてしまったがダンジョン休み中だし大丈夫なはずだ。
大丈夫に決まってる。
8時間程かかっていると思うが今回の件で気付いてしまった。
デバッグ寝落ちは命に関わるかもしれない。
手持ちの魔装具なら大丈夫だと思うが短刀レベルの魔装具であれば、数週間眠ったままかもしれない。
そんなことになればバグ改善のために正常な動作で昇天してしまうだろう。
他にも1並列で複数の魔装具を行えば数日眠ったままになるかもしれない。
気づけて良かったがデバッグ寝落ちは余裕を持ってやるべきだな。
今は能力の確認をしよう。
収納の指輪
スキル:収納
-回収
-取出し
-リスト
概ね想定通りの能力だ。
取り出すための能力は当然だろう。
リストは内容物のリスト化能力なのだろう。
時間停止や状態保護のようなスキルが出ると思ったが特に出なかった。
もし、食べ物があれば腐っていることだろう。
「リスト」
ホットドック、飲料水、カップ麺、カップ麺、カップ麺、…、カップ麺、土、土、土、…、土
カップ麺と土が多すぎて途中で魔装具か何かがあったがスルーしてしまった。
カップ麺は大丈夫だろうがホットドックはアウトだろう。
確認のために取り出してみる。
異臭を確認してスグに回収した。
手の届く範囲に出すことが出来ることがわかったし、対象を指定していれば触れなくても回収出来た。
カップ麺を食べ、準備を整える。
従魔の腕輪にデバッグをかけ、回収してみた。
進んでいるかは分からないがデバッグが切れるということはないようだ。
カップ麺をいくつか出し、短刀を回収する。
飲料水、カップ麺、カップ麺、カップ麺、…、カップ麺、土、土、土、…、土、腐ったホットドック、従魔の腕輪、同調する伸縮刀
ホットドックの表示が変わっている。
認識によって表示が変わるのだろうか。
空の指輪やハートの結晶も入れ、探協へ向かう。
申請機にカードを読み込ませると依頼のページに2と数字が表示されている。
昨日、言っていた指名依頼だろう。
とりあえず探索票を申請し、依頼を見る。
指名依頼
件:開示石の作成
報酬:100万円/kg
内容:鑑定石を用意しているので受付にて、鑑定石を受け取り開示石にしてください。
※ある程度流通を必要数確保出来た段階で報酬を10万円/kgに変更を行います。
探索者カードに使用されている開示石は1gくらいと考えると数百万は簡単に稼げるのではないだろうか。
皮算用をしてしまうが今のところ独占状態と考えるとウハウハだ。
1kg単価10万になってもいい依頼だ。
もう1つの依頼も確認する。
指名依頼
件:伸縮刀の開放
報酬:1000万円
内容:能力が使用不可になった魔装具を使用可能にする。
※魔装具は貸与している。
※魔装具を紛失した際には2000万円の賠償が発生する。
昨日の通りの依頼だ。
恐らく大丈夫だと思うがこちらも大口だ。
収納の指輪に入れてるし、なくすことはないだろう。
確認が終わり、ゲートへと向かう。
ピー
『受付に行ってください』
受付に行かないといけないのか。
行ったところで今は何も出来ないと思うのだがどうなんだろう。
「これってどうしたらいいんですかね」
受付に行き、カードを確認してもらう。
「少々お待ちください」
カードを読み取って何かをしているみたいだ。
「納品依頼として開示石というものを納品するということなので鑑定石を持ってきます」
「ちょっと待ってください。先にダンジョンに潜って帰りに受け取りたいんですけど」
「えっと、少々お待ちください」
受付の人が奥へと行ってしまった。
手順的なところでシステム的なバグがあるのだろうか。
少し待っていると受付の人が戻ってきた。
「ゲートの横にゲート窓口がありますのでそちらにカードを持っていって入場処理をしてもらってください」
「わかりました」
タライ回しというやつだ。
バグのわらしべだ。
「入場申請を受理しました。退場時はこちらに来てください」
やっとゲートの中に入ることが出来た。
朝からバグのせいで不運続きな気がする。
ダンジョンに入ったらマップの端の方で土の処理をしよう。