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勧誘されるバグ

河内さんとダンジョンを出て、会議へ向かうと夕焼けの雫や探協の偉い人、河内さんのパーティーメンバーが待っていた。

夕焼けの雫がある程度設定していたらしく簡単な説明だけ行い、開示石の作成の依頼が出されることになった。

解散後、探幻堂の2人に連れられて移動中だ。

河内さんから店長と呼ばれている男性は坂井ジンという名前みたいだ。

しばらく歩くと事務所の様な場所に着いた。


「適当に座ってくれ」


ジンさんに促され、近くにあった椅子に座る。

事務所内はコンビニの事務所のような感じで机や棚が壁際に置かれており、中央に丸机が置かれ、5つの丸椅子が並べられている。


「さて、河内から聞いていると思うが探幻に勧誘したい」


何の話だ。

モニュメントのことで呼ばれたのだと思ったのだがそれだけじゃないのか。

探幻というのは河内さんやジンさんが所属しているパーティー名だ。


「何のことか分かりませんけど、本格的に探索者をやるかは分からないので遠慮しておきます」

「なんだ説明していないのか。探幻は探索者の育成やダンジョンの攻略を行うことを目的としたパーティーだ。君が昨日来た探幻堂は探協と探幻が共同運営する店舗で俺を中心に経営いてるし、他のメンバーはダンジョンに遠征中という風に好き勝手やっているパーティーなんだ。君が他のパーティーに入る前に勧誘しておきたい」

「好きに活動出来るから攻略しなくてもいいってことですか。でも、普通に会社員ですし時間もとれないと思うので遠慮しておきます」

「そうか」


話はこれで終わりだろうか。

ジンさんが棚から布に包まれた何かを取り出す。


「探幻からの依頼を受けてほしい」

「えっと、それの鑑定ですか。開示石が出回ればあなた達で出来ますよ」

「鑑定ではない。君の力でどうにか出来ないか試してほしい」


布が解かれ、黒い鞘に納められていた短刀が現れる。

蜘蛛の巣のような網目が全体を包み、脈打っていた。

脈打つというよりも点滅だろうか。


「コレは40層の攻略の時にパーティーメンバーが使っていた武器だ。その時にこのようになってしまった。鞘から抜いても短刀としては使えるが元の力を使えなくなってしまった」

「呪われているとかじゃないんですよね」

「分からない。持っても使っても本人には何の影響もないのは確認している」

「ちょっと見てみますけど期待はしないでくださいね」


恐る恐る短刀に触れる。


同調する伸縮刀

スキル:伸縮

-延長

-短縮

スキル:同調するハート

-魔蜘蛛[III]


カンカンカンと頭の中で警鐘がなる。

猛烈な違和感に襲われながら見た内容はシンプルなものだった。

デバッグしなくとも全てのスキルが開放されているものは初めて見る。

『同調するハート』恐らく、このスキルのせいだろう。

どうすればこのような状態になるのだろうか。

ハートと付くものは魔物のテイム状態の様なものだと思う。

それがなぜこの武器に取り憑いているのだろうか。


「多分、スキルでどうにか出来ると思いますが時間がかかると思いますよ」

「それは良かった。報酬は1000万程でどうだ」

「、、、そんなに、いいんですか」

「その短刀の戦果に比べれば安いものだ。成功報酬だから失敗すれば何も払わんからそのつもりでやってくれ」


探索者として歩合制の極みといった依頼じゃないだろうか。

仕事を辞めてデバッグだけで生きていける気がする。

いや、まずは依頼達成できなければ意味がない。

短刀は持ち帰っていいということになったが紛失した場合、2000万の賠償だそうだ。

収納の指輪をデバッグしておかないといけないかもしれない。


「ねえ、私の依頼も受けてみない」


話もまとまり、解散という雰囲気だったが河内さんが何やら提案してくる。


「何ですか」

「その依頼の後に私の使ってる魔装具もみてほしいの」

「マソウグって何ですか」


2人から驚きの目線を向けられる。

何かやってしまったのだろうか。


「その短刀も魔装具だし、あなたが買っていった指輪とかも魔装具よ。特殊な効果がある装備品を魔装具って呼んでるの。探幻堂は魔装具専門店よ」

「すみません」


これはやってしまった感がある。

看板か何かには書いているのだろうが知らなかった。


「まぁ、店名も知らなかったみたいだしいいけど、報酬は私が持ってる魔球をあげる。現物支給ってことでよければ受けてくれると嬉しいな」

「考えときます」

「よし」


話もこれで終わりみたいだ。

2000万の荷物をポシェットに入れ、探協の出入口まで送ってもらった。


急な勧誘が依頼になるというバグはあったが優しそうな人達で安心した。

こんなに稼げるなら探索者として活動してもいいんじゃないかとも思ってしまうがどうなのだろうか。

金欲との戦いになりそうだと思うのだった。



------------------------------

「人を送る前にこんなことになるとは」

「いいじゃないですか。ブラックドッグを生け捕りに出来る実力はありますし、護衛の必要はなさそうですよ」

「それなら間者から騙されないかが心配だがまだ、大丈夫だろう」

「じゃあ、ウエの人達を呼び戻しましょうか」

「そうだな。でだ、なんでクズ玉が報酬になるのか教えてもらおうか」


スキルの拡張についてが48層の面々に通達され、攻略を一時中断することが決まった。

帰還メンバーの中にクズ玉と呼ばれているアイテムを拾うメンバーがいたとかいないとか。

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