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ウンピョウ、ヒクイドリ、オカピ、オリックスより強い主人公

「どぉおおおおおおらあああああああああああああ!」


 俺の一撃が、ネコ科猛獣ウンピョウのどてっ腹をブチ抜いた。


 狩猟祭がはじまってしばらく、俺は集落から離れた平原で狩りをしていた。


 狩りのメンバーは、俺といつもの六人、それいアオイだ。


 仲間の六人は、荷車を引いて俺についてくる。


 荷車とは、昔おじさんが考え、長老が形にした輸送道具だ。木の板の下に車輪、ていう丸く平べったい板を取り付けて、重たいものでも楽々運べる。


 荷車には、俺や仲間が仕留めた動物が乗っている。


 俺が仕留めたのは、ヒクイドリ、オカピ、オリックス、それにいま仕留めたウンピョウだ。


 ヒクイドリはダチョウよりも小型だけど、足には鋭い爪がついていて、かなり危険な鳥だった。


 オカピは角のないシカを少し太らせたような動物だ。体は茶色けど、なぜか四本の足だけが縞模様なのがおもしろい。後ろ脚から繰り出す蹴りは強力だった。


 それからオリックスは凄かった。


 槍のように長い角が二本、後ろに伸びていて、背後や上からの攻撃はすべて防がれてしまった。


 でも体重は俺の五倍はありそうで、正面から戦うのは本当にキツかった。


 そして、俺はたったいま手にした最高の獲物の首根っこをつかみあげる。


「おいお前ら! ウンピョウ獲ったぜウンピョウ!」

『よっしゃあああああああああああ!』

「アギトすごーい♪」


 ウンピョウはネコ科の猛獣で、ボブキャットよりも大きなサーバルキャットよりもさらに大きい。


 戦闘力も、大きさに比例してサーバルキャット以上だった。


 それでも、それでもだ。


 いまの俺は、ヒョウという例外を除けば平原最強、人間が狩れる範囲ではもっとも仕留めるが難しい猛獣である、ウンピョウを一方的に仕留めた。


 これだけで、俺の優勝は決まったようなものだ。


「結構獲ったな、どこかで休憩するか?」


 俺の問いに、仲間たちは頷いた。


 俺はウンピョウを荷車に乗せると、近くの湖を目指した。


   ◆


 湖に到着すると、他に水を飲みに来ている動物はいないようだった。


 背の高い草に囲まれた湖は静かで、秋の涼しい風が、気持ちよく俺の頬をなでていく。


 俺らは湖の水を吞むと、軽く水浴びをした。


 それから、荷車に積んであるヒクイドリを食べることにした。


 ヒクイドリは俺が仕留めた獲物だ。


 でも俺は、ウンピョウを仕留めている。


 ならヒクイドリぐらいあってもなくても変わらないだろう。


 俺らはヒクイドリを解体して、腐り易い内臓を先に食べることにする。


 仲間の二人が火を起こしている間に、俺ら五人は手分けしてヒクイドリを解体することにする。


 俺がその気配に気づいたのは、そのときだった。


「…………」


 草むらに気配に向かって、俺はすばやく槍を構えて近寄る。


 猛獣だったらみんなを守らないと、俺はそんな使命感に燃えながら、草むらとの距離を詰める。


 でも、草むらに近づくと違和感があった。


 猛獣の匂いも、殺気のようなものを感じないのだ。


 俺は、とある予感を得て溜息をついた。


「アオイ?」


 がさごそと草むらが揺れて、アオイの赤面がでてきた。


「えへへ、バ、バレた?」


「うん」


 と、俺は小さく頷いた。

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