歴史ロマン
私は歴史家だ。
祖国である、このシャンバラ王国の歴史を研究している。
この国は素晴らしい。
人間を中心にしながら、エルフやドワーフ、トロールやオーガといったヒト族も暮らす、おそらくは、このアガルタ世界最大の多民族国家だ。
列車に乗り、多くの歴史的建造物に溢れた首都シャングリラを発った日の昼。私は発掘途中の遺跡を訪ねていた。調査員たちが堆積土を掘り返すと、柱の跡や、壊れた土器が見つかる。建国神話によれば、このシャンバラ王国は世界最古の国のひとつのようだ。
かつて、まだ人類が文明を知らない頃の話だ。人類は獣と区別のない存在だったが、ひとりの神がこの世界に降り立ち、人類に文明を授け、ヒトの世が始まったという。
創世主と呼ばれる彼の名はアギト。彼が産まれたとき、空は晴れ渡って虹がかかり、動物たちが集まり頭を垂れ、草木は歌を奏で病気に苦しむ全ての人が癒されたという。
文明に染まりきった私には想像もできないが、人類が獣と区別のない世とはどんな時代だったのだろうか。祖国建国の神であり、初代王アギトに想いを馳せ、私は胸が熱くなった。
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