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  作者: 陽田 平
9/20

第二話 「捜査スタート!」

 モデルの仕事をしていたことがまさかこんなところで活かされるとは、思ってもみなかった。


久しぶりにモデル時代のSNSを見返すと、未だ万を超えるフォロワーが残っていた。


 私は、約2年ぶりの「つぶやき」をした。


「7年前に起きた女子高生殺人事件の被害者『風見葵さん』について調べています。何か知っている人がいたらDM下さい」


 SNSを活用して「風見葵」について調べるというのは廉のアイデアだ。


この男は見た目の通り、こういう小賢しい発想をいとも簡単に思いつく。


要領のいい男だ。


大学の授業のレポートだって、大して努力もしていないくせに、人一倍出来の良いものを仕上げてくる。


ああ、腹が立つ。思えば私の周りの男はなんでこんなにムカつくんだろう。


 先ほどから私と廉は、大学のラウンジのテーブルに腰をかけ、私のスマホを二人で顔を揃えてじっと見つめている。


「こいつは驚いた。いや、雅の人気には恐れ入った」


廉はアメリカ人のようにわざとらしいリアクションで細い目を見開いてみせた。


驚いた。先ほどの「つぶやき」に対して、ものの数十分で百を超える拡散、そして五〇を超えるメッセージが届いていた。


 ひとつひとつのメッセージを見てみる。


殆ど、かつての私のファンたちの「おかえりなさい」みたいな挨拶文ばかり。


それはそれで嬉しかったけど、今求めているものはそれではない。


 画面を続けてスクロールしてみる。


すると、ある一件のメッセージが目に止まった。


それは、同年代と思われる女性のアカウントからだった。


「私は風見葵さんの高校時代の知り合いです。彼女について知っていることがあります」


 まさかこんなに早く「風見葵」に近づけるとは思ってもみなかった。


「どうしよう」


私は少しすがるような思いで廉に問いかけた。


「どうしようって、何を今更。勿論会いに行くよ。無論、君がこの恋に勝つために、今は亡き恋敵の情報を入手したいというのならね」


目の前のキザな男はヘタクソなウインクをしてみせた。腹が立つ。


「…わかった。明日、会えないか聞いてみる」


少しの期待と不安感を感じながら、返信の内容を打ち始めた。


 なぜ不安に感じたかというと、実はこの事件、未だに犯人は捕まっておらず、所謂迷宮入りとなっている。


 もしかしたら、このアカウントの持ち主が事件に何か関わっているかもしれない。


そう思うと、少し不安を感じたが、当日廉も一緒に話を聞いてくれるというので、意を決して送信ボタンを押した。


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