第七話 「次の実験」
「一週間か」
風見教授は、天井に空いた穴をボーッと見ている。
「はい。見た限り実験後も体調に変化はなさそうですし、せっかくなら纏まった時間あっちの世界に行ってみたいと考えています」
僕は真っ直ぐ風見教授の方を向いて答えた。
前回の実験から数日が経った。
あれからずっと葵のことが頭から離れない。
葵に会いたい。そればかり考えてしまう。
「君の葵と一緒にいたいという気持ちはとてもよく分かるよ。だが、一週間眠り続けるということはとても危険だ。責任者として簡単には首を縦に振ることはできないな」
「責任は僕が全て取ります。風見教授にご迷惑はかけません。お願いします」
僕は誠心誠意頭を下げた。
風見教授は少し困ったような顔をして考え込んだ。
僕はその間、ただひたすら頭を下げ続けた。
少しして、風見教授は口を開いた。
「元を言えば、私が君にこんなことを提案したのが原因だ。わかった。
では、一週間後準備をしっかり整えた上で行うこととしよう。
知り合いの医者に寝ている間も水分補給等ができるように手筈を整えてもらう。
あと、もし危険な状態になりそうになったら問答無用で起こす。それでいいかね」
「ありがとうございます」
僕は頭を上げることなく、先ほどよりもさらに深く頭を下げた。
お読みいただきありがとうございます。
ここで、一章完結です。
次回から第二章をお送りいたします。
よろしくお願いします。