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ある高校生の新再生時空  作者: 矢満田
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初めの一週間

入学式が終わった次の日、俺たちのクラスでは係や委員を決めることになった。1度目の高校生活では興味の微塵もなかったこのコーナーだが、この二回目では委員長などを率先してクラスを引っ張って行く人を把握しておいた方がいい、そうしておくとその人と近ずいて交友関係を広げたりするのに色々と便利だからだ。配分としては学級委員から説明すると学級委員長が1人と副委員長、風紀委員、体育、保険、美化、図書が各男女1人づつと言った感じだ。係に関しては説明がめんどくさいので各教科に二人づつだと思っておいてくれ。


「じゃあまず学級委員長を希望する人は挙手」という大山の指示その指示を受けて真っ先に手を挙げた奴がいた。その人物の名前は石井三彦たしか俺の記憶では学力は学年でもトップクラス、運動もそこそこ出来てかなりモテていた記憶がある。


有能な人物がクラスを引っ張っていくことは大事なことだろう。「じゃあ石井、学級委員長としてひとこと頼む」大山の指示により委員長こと石井は席をたち、教壇の前で止まった。「学級委員長に就任させていただく石井です。これからみんなの役に立てるように頑張っていくのでよろしくお願いします。」石井の一言が終わると全体で拍手が起こりそこからは「早速委員長としてほかの委員や係を決めてくれ」という大山の丸投げ発言で石井がまとめ役を担いほかの係や委員が決まった。俺は図書委員をやることになった。理由としては俺が普通に本が好きなのと誰も手を挙げなかったって理由だけだ。女子の方は大内と言う女子が就任することになった。淀は美化、政宗は保険と二人も委員に就任することになったらしい。


次に全学年の対面式というものが始まった。はっきりいって対面式なんていらなくねと愚痴をこぼしたい気持ちもあったが、他学年や他クラスの人間を観察するいい機会だなと思い、人間観察してみることにした。対面式の会場に到着し他の生徒もどんどん集まってきた。万年ボッチの俺なのだが人間観察とかは得意で洞察力には少し自信があった。


集まって整列していく中俺はある異変に気づく、それはどうやら3年生の様子が変なのだ。一見普通なように見えるんだがなんかギクシャクしたのがあるというかとても違和感を覚える。だがその理由はすぐに分かることになった。そう、その諸悪の根源的な存在なっているのは生徒会長坂本昌広だ。彼の挨拶が始まると周りの3年生の様子がおかしいのだ。「い、1年生の皆さん。あ、改めてご入学、おめでとう」坂本はどうやら後ろの3年生をかなり気にしているようで、終始目が泳いでいる。それを見てニヤニヤする3年生もいるものだから坂本と3年生の間で何かあったのは確実とみていいだろう。だがどの先生もそれに気づいておらず、他の生徒を見ても気づいているのは俺だけのようだ。これはこの1年間で大きな問題になる可能性があるなと感じた俺はどうか巻き込まれないことを願うばかりであった。


その後の対面式は、校長がいつもの格好に無駄にメガネもつけていてしっかりと笑いをとっていた。ここまで来るとあの校長もわざとやってるんじゃないかと疑いたいところだ。というか多分わざとやってる。そして対面式も終わり、俺たちは明日行われる課題テストについての説明を受けることになった。「みんなわかっていると思うが、明日はテストを行う日だ。基本的に課題から出されるからしっかりと復習しておくように」と大山が説明する。課題というものは入学式前の説明会で配られたものだ。ほとんどの問題が課題から出され、他の問題も基礎問ばかりで非常に点数を取りやすいテストである。だがしかしこの最初のテストで先生に対する印象も変わってくる大事なテストでもある。俺は正直100%100点をとれる自信はあるんだがここで全教科満点をとってしまうと、変に目をつけられるかカンニングを疑われるので俺は今は自分の実力を隠すことにした。


そして迎えたテスト当日。テストは国数社理英の順番に行われた。俺はだいたい90点前後になるように問題をとき、少し難しいのではと思う問題は白紙で提出した。そして翌日にテストが返って来ることになり、俺は国語91数学88社会92理科89英語90計450点と平均にすると完璧に調整することが出来た。その結果を淀と政宗に見せると「高広ってこんなに頭良かったの?すごいじゃない!」と淀はどこか尊敬するような目で俺の事を素直に褒めてくれた。一方政宗は「高広にだけは負けないと思ってたんだけど惨敗かよー」と俺に負けたことがよっぽど悔しかったのか悔しさをあらわにしていた。淀は合計374点政宗は365点そして平均は350点前後のことを考えると少々点数をとりすぎてしまったようだ。学年順位も校内9位と書いてありもう少し下げておけば良かったと少々後悔していると、クラス内でざわめきが起こった。「えー嘘だろ、お前全教科満点だったのかよ!」という声と共にクラスメイトが集まってくる。そして、その中心にいた人物は我が3組の学級委員長石井三彦だった。「ちょっとみんな集まらないでくれよ、あんまり点数を見せびらかすのは好きじゃないんだ」と石井は困ったような顔を見せる。俺も一応450点とったんだがみんなの注目は全員石井に向けられてることを考えると500点っていうのはよっぽど凄いことなんだな。


テストも終わり、これから通常の授業が始まっていく。2回目の学校も1週間が終わり、友達が出来たかと言われると怪しいところだ。休み時間に話などはしているが、LINE交換してる奴はいないし、もちろんどこかに遊びに行くことも無い。コミュ障の俺には難しいと感じた俺はいつの間にか図書館に足を運んでしまっていた。

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