第7書庫
あけましておめでとうございます!
百物語二十四話になります
一一二九の怪談百物語↓
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感想やご意見もお待ちしております!
私が地元の図書館で働いていた時の話です。
「クロサキさん、第6書庫に保存されている資料持ってきてよ」
新人司書だった私は、先輩の命令で昨日届いたばかりの新しい資料を取りに行くことになった。
「第6書庫は地下2階の1番奥にあるからすぐにわかるよ」
第6書庫は、届いたばかりの資料が保存される場所だ。私は地下2階へ向かうと「まだ入ったことのない」第6書庫へ向かった。
「確かこのトイレを右に…休憩所をまっすぐ進んで奥の扉に…」
図書館に入ってまだ2日目。私は薄暗いライトに照らされた廊下を歩きながら、第6書庫を探した。
「この部屋だよね?ここしかもう部屋ないし…」
第6書庫だと思われる部屋の前に辿り着くと、私はゆっくりと扉を開いた
ギィイィ…
扉を開くと、中から古いインクのニオイが漂ってくる。部屋の中を確認してみると、薄暗い部屋の中にたくさんの本棚が並んでいる。どうやら、ここが第6書庫で間違いないようだ。
「新しい資料はどこかなぁ。先輩はわかりやすいところに置いてあるって言ってたけど…」
第6書庫の中でしばらく資料を探し回っていると、本棚を整理している女性職員を見つけた。
「あの…すみません!」
女性職員は、私に背中を向けながら黙って本棚を整理している。
「昨日届いた資料を探しているんですけど…どこにあるかわからなくて…」
私は女性職員に資料が置いてある場所を聞いてみることにした。すると…
「ここは第7書庫です。資料がある第6書庫は、トイレの隣にあります」
女性職員はそう答えると、私が入ってきた扉を後ろを向いたままの状態で指さした。
「えっ?私間違えて…すみませんでした!」
私は女性職員に頭を下げると、すぐに第7書庫を出た。
数分後…
「遅れてすみません!資料持ってきました!」
私は急いで先輩に資料を届けると、額の汗をハンカチで拭った。
「お疲れさま。第6倉庫の場所、わかった?」
先輩は私が持ってきた資料を受け取ると、すぐに内容を確認し始めた。
「最初は間違えて第7書庫に入っちゃって…中の職員さんに場所を教えてもらったのでなんとかなりました!」
資料を確認していた先輩の手が急に止まった。
「第7書庫?うちの書庫に第7書庫なんてなかったはずだけど…」
私は不思議そうな顔をする先輩に今までのことをすべて話した。第7書庫の雰囲気や中にいた女性の職員についても。
「えっ?そんな職員はウチの図書館にはいなかったはず…ちょっとその場所へ案内してくれる?」
私は先輩と一緒に第7書庫へ向かうことになった。トイレを右に…休憩室をまっすぐ進むと、あの第7書庫へたどり着くはずだった。しかし…
「あれ!?そんな…」
第7書庫があった場所は、もう使われていないロッカールームだった。私は嘘を言ったと勘違いされて先輩に怒られると思ったが、意外なことに先輩は何か納得したような顔をしていた。
「あぁ、わかった。もう仕事に戻ってもいいよ」
私は先輩に何がわかったのか聞いてみようと思ったが、結局何も聞かなかった。聞いてはいけないと思ったからだ。
私が入ったあるはずのない第7書庫で出会った女性は何者だったのだろうか。女性はなぜあの場所にいたのか。そしてなぜ後ろを向いたままだったのか。
もしあの女性の顔を見ていたら…私はどうなっていたのでしょうか…
少しお休みしましたが、やっと最新話を投稿することができました…
今年も一一二九の怪談百物語をよろしくお願いします。