入場と初めて見る皇妃達
パーティーに参加するのは父は勿論、後宮に居る多くの皇妃達も参加するらしい。皇族の公務なのだから当たり前だ。
僕としては皇妃達にあまり会いたくないがこればかりは仕方ない。
「陛下、パーティーの飾り付けは如何なさいましょう。」
「金を多く採り入れろ。」
「畏まりました。」
この会話から分かる通りパーティーについての会議だ。僕は何故ここに居るのかは分からないが父が連れてきたのだから抵抗はしない。
「皿の種類はどうなさいましょう。」
「銀だ。模様は会場の雰囲気と合わせるように。」
「承知致しました。」
パーティーってお皿の色まで考えるらしい。細かいな。
「ハドリー殿下の服は皇族の伝統服でよろしいでしょうか?」
伝統服って何?そんなのあるの?
「あぁ。ハドリー合わせるように新調するように。」
「畏まりました。」
この長い会議が終わる頃にはもう僕は夢の中に入っていた。
翌日
「ハドリー殿下、この服は代々皇族の皇子に着せるお洋服なんですよ。」
そう言われ、服を着させられていた。鏡の前に連れて行かれると絵本に出てくる王子様が来ているような服だった。
「まぁ、凄くお似合いですよ!」
「しかし、丈が少し長いですね。直しましょう。」
それを確認され直ぐに脱がせられた。そしていつも通りの服に着替えさせられる。
僕、パーティーの日にあんな服着させて貰えるんだ。キラキラしてたし正直凄くかっこよかった。
パーティーが楽しみになったかもしれない。
パーティー当日
城には王族と貴族が集まり会場は賑わっている。
「第一皇子様のお披露目ですわね。」
「えぇ、陛下によく似た皇子様らしいですわよ。」
貴族達の目的はこのパーティーの主役、第一皇子だ。
今年子供が産まれた貴族達はどうやって第一皇子と婚約させようか考え、子供が居ない貴族は子作りに励んでいる。
「でも第一皇子様の母君は第一皇妃様では無いみたいよ。」
「まぁ、そうなの?」
「噂ですけどね、陛下は第一皇妃様の所へあまりお渡りをしていなかったんですって。」
「第一皇妃様って確か皇太后様の姪君でしたよね?」
「えぇ、私皇太后様の姪君である第一皇妃様が皇子をお産みになって皇后になると思っておりましたわ。」
これまで第一皇子は皇帝と公爵家の令嬢に出来た子だったり皇帝と王族の姫との間の子だったりと貴族や王族の中でも上の身分の令嬢が第一皇子を出産していた。実際に皇帝であるハーロルトの母親も公爵家の出だ。
しかし今回生まれた第一皇子の母親は貴族なのだがあまり名前が知られていない家の出だ。
だからこの異例の第一皇子に貴族達は興味があるのだ。
正直に言う。パーティーが始まる前に力を使い切った気がする。
僕が主役という事で朝からお風呂に入り、髪を整えられ重い服を着た。前は大丈夫だったけど、あの服ちゃんと着ると結構重かった。
全部して貰ったけど、まだ一歳。場の緊張感に疲れてしまった。
「さぁハドリー殿下、ご支度が出来ましたよ。」
「あーいがと」
「まぁまぁ、こちらこそ。ではお父様の所に行きましょうね。もう待っておられますよ。」
そう言って俺は抱き抱えられパーティー会場のすぐ近くで待っている父の元へ連れて行かれた。
角を曲がり父がいる所を見ると父はちゃんと正装していた。それも凄く豪華な服。頭には冠が乗っている。それに加え父は美しいので謎の光が見える。
「ちーうえ」
父に向かって手を伸ばすと、父は僕の脇の下に手を入れて抱っこしてくれた。
「それでは、入場のお時間ですので失礼致します。」
「あぁご苦労」
エリーは父にお辞儀をしてから来た道を引き返していき、僕と父の二人っきりとなった。
「緊張してるか?」
「んー?」
「まぁパーティーなんて直ぐに終わるからな。お前はまだ一歳だし、何が起こってるのかはよく分かってないだろう?」
中身は成長してるから分かるけど皇族の身分は初めてだからある意味分かってない。
「陛下、皇子殿下、入場のご準備はよろしいですか?」
「あぁ」
「畏まりました」
そろそろ入場らしい。
扉の向こうから音楽が聞こえてくる。
「ハーロルト・アストレイア皇帝陛下、ハドリー・アストレイア第一皇子様、ご入場です!」
扉が開かれ眩しい光が飛び込んできた。そして目を開けると沢山のドレスやスーツを来た人がこっちを見ている。
構えてたけどちょっと怖いな。そう思い父の服をぎゅっと無意識に握ると父は俺を抱え直してくれた。
父は堂々と真ん中を歩き玉座までやって来た。
「ハドリー、座れるか?」
前に自分が選んだ椅子が父の横に並んであった。
「うん!」
「偉いぞ」
父に椅子に座らされ父も玉座に座った。
上から見ると思った以上に沢山の人が居るのがよく分かった。
「次に、アテナ第一皇妃様、ルビー第二皇妃様、アデリア第三皇妃様のご入場です!」
名前が呼ばれるのはいわばトップ3まで。この三人は後宮の中でも上級妃と呼ばれる者らしい。
第一皇妃を先頭に三人は入場してきた。三人は華やかなドレスや髪飾りを身にまとっている。すると第二皇妃と目が合ったが凄い目で睨まれた。刺客を送り込む程だもんね。そして僕と父の一つ下の段にある椅子に座った。
座るのを確認すると次に中級妃の五人が真ん中に、下級妃の七人が入り一番下の段の椅子に座った。
いよいよパーティーが開始する。